イラスト・小谷茶(こたにてぃー)

大学のアメリカンフットボール(以下、アメフト)の試合中のプレーが大問題になっています。

 

5月6日に開催された関西学院大学対日本大学のアメフト部の試合中、守備を行なっていた日大の選手が、パスを投げ終えて無防備な状態の相手選手に全力でタックルし、負傷させたのです。アメフトは体と体がぶつかり合う激しいスポーツですが、このプレーはルールを逸脱した、非常に危険なものでした。

 

当初はプレーそのものが問題視されていましたが、執筆時現在はラフプレーを監督が指示したのか、組織的なプレーだったのか、そこに注目が集まっています。

 

スポーツの強豪校では監督の権限が強いことが多く、学生が監督の言うことに服従せざるえない「パワハラの構図」が指摘されています(直近ではレスリング、あるいは相撲協会などでも問題になりましたね)。

 

みんなが安心して楽しくスポーツを行うため、ラフプレーは許されるものではありません。ましてや選手が逆らえないという力関係を利用して支持したのであれば、完全にハラスメントであり、組織内での大幅な改革が求められます。

 

アメフトに限らず、すべてのスポーツで今後このようなことがないよう改善を願います。

 

■また始まったネットでの私刑

 

ここではプレーの内容・チーム内での力関係ではなく、この問題から発生したネットでの誹謗中傷について考えたいと思います。

 

問題となったプレーの動画がネットで拡散しニュースで取り上げられた頃、このプレーを行った選手の名前・顔写真・プロフィールなどが一部サイトにまとめられました。

 

さらにはこうしたサイトを見て、SNS上で「許せない。こいつがこんなプレーを行ったのか」などのコメントがあふれ、しまいには「この顔つきは、きっと〇〇人に違いない」と人種差別発言まで飛び出していました。

 

このような動きは今回に限らず、ネット上の「お金の儲けのためにアクセスを増やしたいウェブサイト」と「誰かを叩いてスッキリしたい」人たちによって毎度繰り返されます。

 

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スポーツのラフプレーをめぐっては昨年の高校野球でも、一塁手の足を意図的にバッターが踏んで負傷させたのではないかというラフプレー疑惑が出て、ネット上でその選手を誹謗中傷する意見が出てきました。

 

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さらには野球の世界大会において、ホームランボールを観客の男子学生がキャッチしたため二塁打になってしまい、その男子学生の学校・名前・顔写真等がまとめられ誹謗中傷される事件も起こっています。

 

あるいはスポーツに限らず、ある事件や疑惑の関係者とされる人たちが顔写真や名前さらには住所や家族などの情報をネット上にさらされ誹謗・中傷される事件も多く発生しています。

 

今回の「アメフトラフプレー事件」でも、同じように個人の誹謗・中傷という二次被害が発生しています。

 

正直「またか…」と嫌な気持ちになりつつも、あまりにも同じような事象が多すぎて麻痺すらしています。

 

しかしながらダメなものはダメ、と原理原則を確認し、改めて問題点を確認しなければいけません。

 

■ネットでの誹謗中傷はラフプレー

 

ネット・ SNSが普及したことによって私たちは、ニュースから感じたコメントを簡単に発信できるようになりました。嬉しい・悲しい・許せないなど、さまざまな感情をニュースに乗せ、友人達とシェアすることができます。

 

こうした仕組みによって、止まっていた報道を再び注目させ、問題が解明に向かうことがある一方、特定個人を執ように叩いて追い込み、ネットリンチ(私刑)になることもあります。

 

今回の事件も、相手に怪我をさせたプレーは当然許されませんが、同時に、仮に監督からの指示があったのだとしたら、この選手はある意味でパワハラの被害者といえます。

 

アメフトではボールを持った選手にタックルをし、ボールを奪うことはルールとして認められています。

 

しかしボールを投げ終え、防備な状態の選手にタックルをすることはルール違反です。

 

インターネットで意見を表明する、ある種の言論活動でも、ルールに則った批判であれば問題ないですが、誹謗・中傷、過度な個人攻撃はラフプレーとなりますので注意が必要です。

 

 

琉球新報が毎週日曜日に発行している小中学生新聞「りゅうPON!」5月20日付けでも同じテーマを子ども向けに書いています。
親子でりゅうPON!と琉球新報style、2つ合わせて、ネット・スマホとの付き合い方を考えるきっかけになればうれしいです。

 

【プロフィル】

モバイルプリンス / 島袋コウ 沖縄を中心に、ライター・講師・ラジオパーソナリティーとして活動中。特定メーカーにとらわれることなく、スマートフォンやデジタルガジェットを愛用する。親しみやすいキャラクターと分かりやすい説明で、幅広い世代へと情報を伝える。http://smartphoneokoku.net/