護岸造成工事が進む米軍キャンプ・シュワブ沿岸部=7日、名護市辺野古 画像を見る

 

米軍普天間飛行場の移設に伴う沖縄県名護市辺野古の新基地建設で、翁長雄志知事は18日までに、辺野古海域への土砂投入前に埋め立て承認を撤回する方針を固めた。県は17日に代替施設建設事業の即時工事停止を要求する行政指導文書を沖縄防衛局に発送しており、即時に工事が中止されないと判断すれば撤回表明に踏み込む。23日にも三役、部局長らで方針を確認し、撤回に向け、防衛局から弁明を聴く「聴聞」手続きを開始することを表明する。複数の県関係者が明らかにした。

 

沖縄防衛局は護岸で囲んだ海域に土砂を投入する本格的な埋め立て工事に、8月17日にも着手すると県に通知している。翁長知事は前県政が認めた埋め立て承認を撤回することで承認の効力を無効にし、土砂投入前に工事を停止させることを狙う。

 

17日に沖縄防衛局の中嶋浩一郎局長宛てに送付した県の行政指導文書は、地盤強度を表す「N値」がゼロを示す軟弱地盤の存在が国の調査で見つかったデータを示し「設計概要説明書に従って工事が進められるならば、護岸の倒壊等の危険性を否定することはできない」と指摘。「安全性を確認できないことを認識しながら、殊更にこのことを隠したまま着工して工事を強行してきた」など行政文書としては異例の厳しい文言で国の姿勢を追及した。その上で、工事の即時停止を求めている。

 

撤回は、承認後の事情の変化を理由に、公益上の必要が高いとして、許認可などの行政処分を取り消す措置。埋め立て承認の撤回には、事業者である沖縄防衛局の言い分を事前に聞く「聴聞」の手続きが必要とされている。

 

行政手続法は事業者側に通知してから聴聞を実施するまで「相当な期間」を置くことを定めており、県は期間を1~2週間と想定する。さらに、聴聞後に防衛局の弁明内容を分析する期間として2週間前後を想定している。

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