米軍キャンプ・シュワブ沿岸域の埋め立て区域の一部=10月18日午後、名護市辺野古のキャンプ・シュワブ沿岸(小型無人機で撮影)

 

米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設を巡り、石井啓一国土交通相は30日、県の埋め立て承認撤回の執行停止を行うと発表した。沖縄防衛局による行政不服審査法に基づく申し立てを認めた。これを受け、政府は必要書類が31日にも沖縄防衛局に届いた後、来月にも土砂投入に着手し、準備として1日にも関連工事に踏み切る方針だ。県は第三者機関「国地方係争処理委員会」への審査申し出を軸に対抗策を検討しているが、同委員会の判断が出るのは3カ月以内で、その間工事は進むことになる。

 

石井国交相は会見で、行政不服審査法に基づく沖縄防衛局の申し立てを認めた理由について、撤回により工事が止まることで普天間飛行場の危険性除去が困難となることや「日米間の信頼関係や同盟関係等にも悪影響を及ぼしかねない」などと説明。この状態が続くことで外交・防衛上の不利益が生じるとし、執行停止を認めるための緊急性があるとの考えを示した。

 

国交相から沖縄防衛局への正式な決定通知は31日に届く見込み。岩屋毅防衛相は30日の会見で、工事について「準備が整い次第、速やかに再開をさせていただきたい」と語り、辺野古沖での土砂投入に向けた作業を進める考えを示した。

 

県が8月31日に埋め立て承認を撤回したことで、防衛省は工事を進める法的根拠を失い、辺野古での作業は止まっていた。同省は対抗措置として今月17日、国交相に対して行政不服審査法に基づく審査を請求し、併せて審査結果を待たずに撤回による工事停止の効力を失わせる執行停止を申し立てていた。

 

防衛局は立ち入り禁止海域を示す海上のフロート(浮具)の設置や資機材の再搬入などから始める段取りを想定。県が係争委に審査を申し出ても再開できる。ただちに工事を止める手だてはない状況だ。