外務省沖縄事務所(川村裕沖縄担当大使)は、米軍嘉手納基地内にある小学校で公立小学校教諭を対象とする英語研修会を企画し、宜野湾市、沖縄市、浦添市、嘉手納町の4教育委員会が参加することが13日までに分かった。学校現場からは「教育目的というより米軍を『よき隣人』と印象付けたいだけではないか」「基地内でなくてもできるのではないか」との批判や疑問が出ている。
小学校では、2020年度から英語が正式教科となる。外務省沖縄事務所は研修会を企画した理由を「小学校教諭の英語の指導力を危惧する教育関係者の話を聞いて立案した」と説明する。同事務所によると、嘉手納基地に近い市町村に声を掛け、宜野湾市、沖縄市、浦添市、嘉手納町の4市町が参加を決めたという。ただ、同事務所は具体的にどの自治体に声を掛けたのかは、明らかにしなかった。
研修会は2日間の日程で午前9時から午後3時まで。参加者は英語を母国語としない児童向けの英語授業を見学したり、先生から教授方法を学んだりする。
参加を決めた浦添市を除く各自治体の教育委員会は9~10月ごろ、各校に研修会への参加を呼び掛ける文書を配布した。嘉手納町教委は「教員の資質向上につながる機会は生かしたい」と担任を持つ教員を各校から1人ずつ派遣する。宜野湾市教委は「英語の指導力向上で実施を決めた。(会議でも)基地内研修に異論を唱える声は特に上がらなかった」とし、各校から2人の参加を呼び掛けた。「教員資格を持たない英語の補助的教諭でもいいから、派遣人数を確保するよう言われている」とする学校もあった。研修会は、来年2月ごろにも予定されている。
沖縄県憲法普及協議会の高良鉄美会長(琉球大学法科大学院教授)は「沖縄では復帰前、米軍が教育の場まで踏み込み、基地の存在を意識させないようにしていた歴史もある。わざわざ基地で行う必要があるのか」と批判した。