自身の写真集をめくりながら、当時の長春の様子を振り返る池宮城晃さん=13日、那覇市

 

1978年の改革開放以降、急速な都市開発が進む旧満州の記録に取り組んできた元報道カメラマンで池宮商会の顧問代表取締役、池宮城晃さん(69)=那覇市=の特別写真展「長春の記憶」が、中国吉林省長春市の長春図書館で開催されている。同市には開発前の原風景を収めた記録写真がほとんどなく、同図書館と偽満皇宮博物院が中国改革開放40周年記念として池宮城さんに写真提供の協力を求め、実現した。人々の生活の営みや歴史的建造物、風景など、池宮城さんが84年から86年にかけ撮影した作品120点が展示されている。

 

両親が満州時代に長春で暮らしていたことから池宮城さんは中国東北地方に強い関心と愛着を持ち、84年から19都市を訪問し記録写真を撮り続けた。94年~2009年には近隣の大連市に池宮商会の現地法人を構え、駐在した経緯もある。

 

撮影当時の長春は満州時代や改革開放以前の建造物が数多くあり、人々の生活も質素で「戦後復興期の沖縄の暮らしを思わせるようだった」という。だが、急速な土地開発や文化の近代化により、瞬く間に人々の生活や町の景色は変わっていった。生活するのに精いっぱいで、何気ない日常を切り取った記録写真があまり残っていない戦後の沖縄の姿と重なったという。

 

「いつか人々の記憶のよすがになれば」と、池宮城さんは“今の姿”を刻もうとシャッターを切り続けた。そして、東北地方が経済発展を遂げた時、全ての写真を中国に寄贈しようと決めていたという。

 

撮影時から30余年を経て、池宮城さんは写真展開催に当たり今年9月に長春へ渡り、写真を寄贈。展示作品を掲載した写真集「影蔵長春記憶」(写真に見る長春の記憶)も刊行した。池宮城さんは「いつか中国が、これらの写真を必要とする日が来ると確信していた」と話す。中国は第二のふるさとだとし「写真を通して多くの人に、古き良き時代の長春を感じてもらいたい」と目を細めた。

 

写真展は12月中旬まで同図書館で開催、21日から来年3月末までは長春市群衆芸術館で開催する。
(当銘千絵)

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