記者会見で「議会の議決を尊重して対処する」と述べ、宮古島市では県民投票を実施しない意向を表明する下地敏彦市長=18日午後、宮古島市役所平良庁舎 画像を見る

 

【宮古島】米軍普天間飛行場の移設に伴う沖縄県名護市辺野古の埋め立ての賛否を問う県民投票について、宮古島市の下地敏彦市長は18日、県民投票実施のための予算を執行せず、県民投票を実施しない意向を明らかにした。同市議会(佐久本洋介議長)は18日の最終本議会で、県民投票に関する補正予算を削除した修正案を賛成多数(賛成17人、反対5人)で可決。下地市長が再議に付したが、修正案が同様に可決された。下地市長は「議会の議決は、住民から選ばれた議員が判断したもので、大変重い」と述べ、市議会の判断を尊重する意向を表明した。

 

これに対し玉城デニー知事は同日夕、県庁で記者団に「県民投票条例に基づき、県および市町村は県民投票を実施する責務を有している」と述べ、全市町村での実施に向けて対応していく姿勢を示した。

 

県内で県民投票への不参加を表明した市町村は初めて。今後、他の市町村でも同様の動きが波及する可能性がある。一方で、投票権の侵害として住民訴訟で市町村長が損害賠償請求される事態も想定される。

 

議会終了後に会見を開いた下地市長は「普天間飛行場の今後の方向性を示さない今回の県民投票は、宜野湾市民の生命の安全と財産の保全が置き去りになる」などと指摘。辺野古への移設についても「国全体に関わる問題は国会の場において議論をし、国全体としての意思を決定すべき」として、今回の県民投票は「そぐわない」と強調した。

 

最終本会議で否決されたのは県民投票実施のための1382万3千円を計上した予算案。討論で、予算案に反対する議員から「賛否のみの二者択一では、多様な意見をすくい上げることはできない」などと意見が上がった。

 

一方、県民投票に賛成する議員は「知事選で既に民意が示されているというが、政府はそれを認めず土砂投入に踏み切った」などと主張した。

 

同市議会は12日、「既に県民の意思は示され、再度の意思の確認は必要ない」などとして、市議会与党が提出した県民投票に反対する意見書を賛成多数で可決していた。

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