丹精を込めて作ったカリフローレを手にする川越隼さん(左)と、沖縄オーガニッククリエイトの玉城克明社長=18日、南城市大里 画像を見る

あのマドンナさんは沖縄野菜のとりこ? 「ポップスの女王」と言われる米歌手、マドンナさんが2016年に来日した際、島にんじんやインゲンなどの県産野菜を食べていたという。世界的スターが求めたのは「安全安心」。県内の生産者は丹精込めて育てた有機野菜で応えた。

 

15年の師走、有機野菜の卸会社、沖縄オーガニッククリエイト(浦添市)の玉城克明社長(46)の電話が鳴った。「安全で、いい野菜をお願いします」。声の主はマドンナさんの元パーソナルシェフで、旧知の西邨マユミさん(62)=米国在住=だった。

 

マドンナさんは16年2月、10年ぶりの来日公演を行い、2日間で約4万人を動員した。玉城社長は来日に合わせ、島にんじんやセロリ、ニラ、ズッキーニ、ピーマンなど、沖縄で栽培した有機野菜を手配した。関係者によると、マドンナさんは「安全で、おいしくいただいた」と話していたという。

 

マドンナさんの口に入った野菜は、有機生産グループ「しまぬくんち」が育てたものだ。メンバーの多くは、今回の取材まで「マドンナが食べた」事実を知らなかった。

 

「あのマドンナですよね?」。ズッキーニを提供した川越隼さん(36)=西原町=は驚きを隠さなかった。ピーマンを育てる崎山聡さん(41)、史恵さん(40)夫妻=那覇市=も「CDを聞いていた世代なのでびっくり。有機にこだわってきて良かった」と笑顔を見せた。

 

インゲン農家の前里勉さん(67)=南城市=は「未来の子どもたちのために安全安心な野菜を提供したい」との思いから、20年近く有機栽培を手掛けてきた。「マドンナ」の名前が出ると顔を赤らめ、「ほんとうれしいです。自分たちが一生懸命作ったものが食べてもらえるなんて」。

 

米俳優のブラッド・ピットやアル・ゴア元米副大統領にも食事を提供したことがある西邨さんは「エネルギーがとてもいい」と県産野菜を評価。マドンナさんが次回来日する際も、西邨さんは県産有機野菜を要望するという。

 

家族5人でセロリを育てる仲松隆貴さん(30)=中城村=は「次回も甘くて柔らかいセロリを食べてほしい。作りがいがありますよ」と話し、日焼けした顔に白い歯を見せた。

 

世界のスターが太鼓判を押した県産有機野菜。そこには、生産者の思いがたっぷり詰まっていた。(真崎裕史)

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