伝統行事ピーゲーシー「火返し」で拍子木をたたき火の用心を集落に呼び掛ける青年ら=18日、名護市辺野古 画像を見る

 

【名護】名護市辺野古で18日、火の用心を呼び掛ける区の伝統行事「ピーゲーシー(火返し)」が執り行われた。火の霊になった青年らが集落を駆け回り、区民らが青年に水を掛けて火の邪気を追い払った。火返しは1918(大正7)年1月25日、辺野古で20軒余りが焼失する大火災が発生した翌年から、火の悪魂払い行事として続いている。

 

この日は午後8時すぎから集まった青年らが拍子木を打ちながら集落を回った。「カマヌメーカキホーキ、シミソーチ(かまどの前をちゃんと掃除して)、タグニミズカザティ(バケツに水を入れて)、ヒーマチュタシクシンソーレー(火に気をつけてください)、アッチャレレー」と火の用心を呼び掛けた。

 

青年らが集落を回ると窓から住民が顔を出して「今日は寒いから気をつけてねー」と声を掛けるなど、青年らをねぎらった。

 

青年らは2度集落を回った後、神アサギに集まり火をつけ「今年も火事のないように」と御願した。火を消し終わると3カ所に分かれ、ドラを鳴らしながら「ホーハイ!ホーハイ!」と集落内を駆け回り、火の霊が来たことを知らせた。区民らはバケツやホース、消火剤に見立てた水風船で青年らに水を掛け、火災がないように願った。ピーゲーシーを終えた青年らは海に向かって御願した。

 

子どもと一緒に水風船を投げた川上将吾さん(37)は「子どもたちに小さい頃から火の恐ろしさを教えて、火を消す大切さを体験してもらいたかった」と伝統行事の大切さを語った。金城勝也さん(37)は「若い子たちがどんどん行事を継承して、地域をよくしていってほしい」と後輩たちにねぎらいの言葉を掛けた。

 

この日の名護市の最低気温は13・4度で、辺野古は海風も吹き、冷え込んだ。青年会の佐久本義也会長(28)は水にぬれながらも「昔発生した火事が二度と起きないよう、住民に気を張ってもらいたい」と語った。

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