摘みたての島バラをジャムにしたら春の味がする?
島バラの呼び名でなじみ庚申(コウシン)バラ。中国原産。四季咲き。つぼみが多く付き、庚申月(隔月)に咲くと例えられている

 

恩納村で島バラのジャムが作られているそうです。そもそも島バラは食べられるの? 沖縄は今がバラの開花時期です。どんな人が作っているのか、気になります。

 

(那覇市 バラ科マダム属ローズさん)

沖縄のリゾート地・恩納村で無農薬栽培に挑む仲西美佐子さん

 

実は、この“島バラ島ネタ”は調査員仲間からの情報。聞けば、島バラのジャムの生産者は恩納村の仲西美佐子さん(69)で、エコロジカルな暮らしの体験施設「ちゅらさ工房」を営んでいるそうです。

 

レキオで「バラ賛歌」を連載した調査員もバラを食するのは未体験。さっそく恩納村に向かいました。

 

「百姓」は総合的な学術

 

恩納岳を背に、国道58号が走る西海岸へなだらかに傾斜する恩納村南恩納。内陸側の診療所前で待ち合わせた仲西さんはTシャツにジーンズ姿の闊達(かったつ)そうな女性。バラ畑を見せてくれるというので、農道を車で追っていくと――。

 

すごい! 一面に島バラ(庚申バラ)が咲き誇り、漂う甘くかぐわしい香りに感動の雄たけびを上げる調査員。「1月中旬の冷え込みが開花に好影響した」と、仲西さん。2年前の6月、500坪ほどの畑に1000本の小苗を植えると12月には咲き始めたとか。剪定(せんてい)後、昨年10月に開花し、5月頃まで咲き続けるよう。

 

ジャムの原料はたっぷり取れそう。そもそもジャム作りは何が発端でしたか?

 

「有機農業はもうからないという考え方に対し、地域の資源で地場産業を興そうと思ったのが動機。私は百姓であり、一つの仕事にとらわれず、有機農産物の加工、草木染め、エコツーリズムガイドなどに従事しています」と、総合的な学術、専門の技術が農業なのだと熱い思いを語ります。

 

エディブルフラワーに転化

 

仲西さんが有機農業に就いたのは、祖父・祖母の伝統農業を見て育ち、琉球大学時代は民俗研究クラブに所属して集落を巡った背景がうかがえます。

 

「40年前、女性の農業就業は厳しかった」と、振り返る仲西さん。ビニールハウスでの花卉(かき)栽培、菊や野菜の露地栽培など、経済的な近代農業を10年ほど経験するも、「やはり循環型の有機農業で生産を」という考えにたどり着くのです。

 

地域活動に携わる中から作り上げたのは、ものづくりを通した自然の循環の気づきの場「ちゅらさ工房」。その一つが、無農薬で育てた島バラのジャム作り体験です。

 

「地元はリゾートホテルのメッカ。島バラ栽培は、“リゾ婚”のフラワーシャワーを見込んだが、長期設定のウエディングプランに対し、自然に左右されるバラ栽培は確たる供給ができず、ネックとなりました」

 

ならば、無農薬のエディブルフラワー(食用花)の島バラ。仲西さんは、サラダやジャム、花びら摘み体験に転化したのです。

 

仲西さんは島バラのジャムをシンプルに作り上げています。摘みたての花びら60グラムを水300㏄、グラニュー糖150グラムを2回に分けて煮詰め、シークヮーサー原液20㏄を加えるだけ。ペクチンは好み次第で加えて。ただし、バラの香りが飛ばないよう、とろ火の火加減が肝要。

 

出来たての島バラのジャムは、春の味わいと香りそのものでした。

 

ちゅらさ工房
恩納村恩納6486
090(1946)0147
島バラジャム作り体験、花びら摘み体験(4月まで)、シロップ作り体験、アカバナージャム作り体験など有料で対応

 

(2019年2月14日 週刊レキオ掲載)

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