墜落事故を受けて一時中止していた飛行訓練を再開する米軍F15戦闘機=2018年6月、嘉手納基地 画像を見る

 

世界保健機関(WHO)欧州事務局が2018年に改訂した騒音に関するガイドラインを基に算定すると、米軍嘉手納基地(沖縄県嘉手納町など)の周辺に住む約31万人のうち1万7454人が高度な睡眠妨害をもたらすレベルの騒音にさらされ、騒音が原因で年間10人が死亡したと推計されることが12日、分かった。北海道大学の松井利仁教授(環境衛生学)が試算した。13日に記者会見し、発表する。

 

WHOは1999年に騒音のガイドラインを定め2018年に改訂した。新ガイドラインでは環境騒音を専門とする研究チームが最近の研究結果を調べ、許容範囲を定めた。夜間騒音は身体や心理の健康に影響を及ぼすため40デシベル以下にするよう推奨する。それを上回る騒音が発生した場合、心臓血管系や代謝への影響など健康被害、睡眠への悪影響があると指摘している。

 

松井教授はこれまで1999年のガイドラインや英ヒースロー空港の疫学調査を基に嘉手納基地の被害を調査、夜間騒音で1年間に心筋梗塞や脳卒中で約4人が亡くなっていると推計した。軽度以上の睡眠障害がある人が約1万人おり、心疾患や脳卒中の人が約30人いるという試算だった。

 

2019年2月には沖縄防衛局の田中利則局長が「航空機の騒音は瞬発的で、人体への影響は科学的に立証されたものではない」と発言し、問題となった。

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