玉城デニー氏の知事選出馬に伴う衆院沖縄3区補欠選挙は21日、投開票が行われ、「オール沖縄」陣営が推すフリージャーナリストで無所属新人の屋良朝博氏(56)が7万7156票を獲得し、初当選した。元沖縄北方担当相で新人の島尻安伊子氏(54)=自民公認、公明、維新推薦=は5万9428票を得たが及ばず、屋良氏は島尻氏に1万7728票差をつけた。3区の有権者が辺野古新基地建設に反対する屋良氏を選んだことで、県民は昨年9月の知事選、今年2月の県民投票に続き、辺野古埋め立てを強行する安倍政権に対し再び「ノー」を突き付けた。
屋良氏は辺野古埋め立てを阻止し、基地機能の分散による普天間飛行場の即時閉鎖、返還を公約の柱に掲げたことで、新基地建設反対の県民世論を追い風に支持を広げた。翁長雄志前知事が構築した「オール沖縄」陣営の全面支援を受け、玉城知事の後継をアピールしたことで課題だった知名度不足を克服し、玉城知事の地盤でもある沖縄市やうるま市を中心に無党派層にも浸透した。
衆院選初挑戦となった島尻氏は保守系の首長や県議、市町村議員、企業人らが運動を展開したが、辺野古容認の姿勢に対する反発もあり、序盤から苦戦した。沖縄担当相時代に子どもの貧困解消に向けた予算を確保したことや経済振興策などの実績、政府との信頼関係の強さを強調した。しかし閣僚時代の失言や普天間飛行場の県外移設から辺野古移設容認に転じたことに対する有権者の不信感を最後まで拭えなかった。
投票率は2017年10月の前回衆院選の54・05%から10・06ポイント下がり、43・99%で、参院選を含む県内の国政選挙で過去最低を記録した。総選挙ではなかったことで有権者の関心が高まらなかったとみられる。
当日有権者(在外含む)は31万3695人(男性15万4092人、女性15万9603人)だった。【琉球新報電子版】