【中部】米空軍は21日午後、嘉手納基地でパラシュート降下訓練を実施した。沖縄市、嘉手納町、北谷町でつくる「嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会」(三連協、会長・當山宏嘉手納町長)や県が訓練中止を求める中、強行した。嘉手納基地での降下訓練は2月21日以来で、今年に入り3回目。午後3~6時まで5回にわたり、少なくとも16人の兵士が降下した。米軍は22~24日にもうるま市の津堅島訓練場水域で降下訓練を実施する予定だ。沖縄防衛局によると、「当局が把握する限り、3日連続の訓練実施は記録がなく初めて」としており、異例の4日連続の強行となれば、地元自治体や周辺住民から強い反発が上がるのは必至だ。
パラシュート降下訓練は日米特別行動委員会(SACO)で天候などによる「例外的措置」を除き、伊江島補助飛行場で実施することで合意している。當山会長によると、訓練の直前に第18航空団の任務司令官から電話があり、今回の訓練については伊江島の天候と「訓練しなければいけない状況に迫られている」ことを理由に、例外的措置に当たるとの説明があったという。だが、本紙が沖縄気象台に確認したところ、21日の伊江島の天候は晴れで風や波の高さも嘉手納基地周辺とほぼ同じだった。
訓練後、報道陣の取材に応じた當山会長は「米軍の一方的な解釈は許されるものではなく、重大なSACO合意違反に当たる」と憤り、訓練の恒常化をけん制した。今後も三連協として訓練を実施しないよう、米側へ抗議していく構えだ。
訓練の中止を求めていた県も21日、現場確認に職員を派遣した。訓練が強行されたことに県幹部は「ひどすぎる」とため息をついた。県も関係機関に抗議する方針で、国や米軍関係者の呼び出しも含めて調整している。
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