沖縄県の牧志公設市場衣料部・雑貨部の土地賃貸借契約が2021年度末で満了するのを前に、那覇市は両部の今後の在り方について検討している。入居している事業者との意見交換会が5月上旬から、周辺事業者・市民が両部の在り方を考えるワークショップが20日から始まった。24日には、市から諮問を受けた那覇市中心市街地活性化委員会の第1回会合が開催された。これらの議論や土地所有者への意見聴取を経て、8月以降に今後の方針を決定する。市によると、入居事業者の約9割が事業継続を希望している。
衣料部・雑貨部の建物は1982年に建設され、市が保有する。土地は隣接するパラソル通りを含めて市が民間から借りており、契約期間の30年間で市は約7億1700万円の賃貸借料を支払う。市が2016年度に土地所有者の意向を確認した際は「再契約も考える」と回答したという。
市によると、市場の小間(スペース)の使用率は衣料部が約51%、雑貨部が約78%で、空き小間対策が課題となっている。衣料部の商品は着物が中心だ。雑貨部は化粧品店やマッサージ店など多様な事業者が入っている。市は「現在取り扱われている商品は、施設の設置目的とする日常生活に必要な品目から変化してきている」と指摘する。市の16~17年度調査によると、両部共に地元客のリピーターが多いが、休日でも1日の来客数が5人未満にとどまる事業者が衣料部で約6割、雑貨部で4割ある。月平均売り上げが20万円未満の事業者は両部共に約7割を占める。
衣料部事業者でつくる組合の木本宏有基(ひろゆき)組合長は「空き小間は多いが、条件の緩和や募集方法の工夫によって改善できる。市はもっと時間をかけて今後の在り方を議論してほしい」と求めた。雑貨部事業者でつくる組合の安田雅一組合長は「頑張ってきた事業者がこれまで通り営業できるようにしてほしい。新しく入りたい人がチャレンジしやすい環境も整えてほしい」と語った。
20日の第1回市民ワークショップには13人が参加した。「かりゆしウエアなど日常的な商品を増やしてはどうか」「ゆんたくしながら買い物をするスタイルや独特の歴史が魅力だ」「県民や学生が集まるようになれば、観光客も『面白い』と感じるのではないか」といった意見が出た。