大豆ミートで作られた「ベジからあげ」=5月16日、那覇市壺屋の「自然食とおやつmana」 画像を見る

 

健康や環境、動物愛護の理由などから肉や魚介類、卵などの動物性由来の食材を食べないベジタリアン(菜食主義者)の一種「ビーガン」が沖縄で注目を集めている。現在県内に約40店舗のビーガン料理の専門店などがあり、面積当たりでは全国的に見ても上位の店舗数という。4月には県内の飲食店経営者でつくる「沖縄ヴィーガン協会」が設立。外国人観光客の増加もあり、食の多様化の一環としてビーガン対応が広がりを見せている。

 

39店、食の多様化に対応

ビーガン(Vegan)は「ベジタリアン(Vegetarian)」を短縮した言葉で、動物に犠牲を強いることがない生き方を掲げて、1944年のイギリスで始まった。肉や魚だけでなく卵や乳製品、ハチミツなども口にせず、ベジタリアンの中でも厳格な菜食主義者といわれる。

 

動物愛護から始まり健康志向など世界的にビーガンブームが広がっている。だが、和食のようにカツオや鶏ガラでだしを取った食事も口にしないため、日本は「ビーガンが普及しづらい国」と言われてきた。

 

一方で沖縄は米軍基地に住む外国人の影響もあり、海外の動向が早くから伝わってきたことが普及の入り口となってきた。近年は那覇市や北谷町にビーガン対応の飲食店が集中し、ビーガン向けのイベントや講演会も開催されるなど人気が高まっている。

 

4月に発足した沖縄ヴィーガン協会は県内の飲食店にビーガンメニューの紹介や、ビーガン対応の認証マーク発行などを行っていく。協会理事で、宜野湾市のビーガンレストラン「プラントホリック」店主の斉田実美さん(48)は「ビーガン対応のメニューが一つあればいい。観光客が多い沖縄にとってビーガンビジネスはマイナスではないはずだ」と話した。

 

菜食には味気ないイメージもあるが、肉に見立てた「大豆ミート」を使ったタコスや唐揚げ、チーズのようだが豆乳で作った豆腐など、肉を使っていないと言われなければ気付かないような「がっつり系」のメニューも多い。

 

宜野湾市在住の英語教師で、ユーチューブなどを通じてビーガンの情報を配信する「ヴィーガン男子」ことダンテ・オレールさん(28)の存在も、県内でのビーガン人気をけん引している。昨年12月に県内のビーガン対応の飲食店39店舗を網羅した「沖縄ヴィーガンマップ」を完成させ、4月に同市内で開いた「沖縄ヴィーガン祭り」には約3千人が来場した。オレールさんは「観光客や外国人などいろいろな文化が混ざり合う沖縄は、ビーガンが広がる可能性がある」と話した。

 

(石井恵理菜)

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