「女性の職場」も今は昔? 日本の空に増える男性CA【ウェブ限定】
JTAで男性CA第1号の大谷海渡さん=2月28日、那覇空港のJTA機内(喜瀬守昭撮影)

 

航空会社の客室乗務員(CA)は、長く女性が憧れる「花形」の職業の一つに挙げられてきた。だが、それも今は昔。「スチュワーデス」と呼ばれた時代から平成、令和と移り変わり、男性CAの姿も目立ってきた。沖縄が拠点の「日本トランスオーシャン航空(JTA)」にも現在3人の男性CAが勤務している。そのうち、男性CA第1号の大谷海渡さん(26)を取材した。(大城周子)

 

■半世紀の歴史で第1号に

 

東京に生まれ、小学から高校までは神奈川県で育った大谷さん。幼少期から、よく両親に連れられ海外を旅した。海外のエアラインでは男性CAが接客する光景は当たり前で、いつしか憧れを抱くようになったという。

 

大学では気象・気候学を専攻した。就職活動をする中で国内航空会社には日本人男性のCAが少ないことを知り、教員の道へ方向転換。「女子校で教育実習をしたんですが、生徒の扱い方がわからなくてとまどってばかり。勉強してきたことを社会で教えることの難しさと自分の無力さを痛感しました」

 

教員になるのは社会人を経験してからでもいいとの助言もあり、大学卒業後はテーマパーク運営会社に就職した。ホテルのコンシェルジュ、広報や人事、現場スタッフ…。忙しく充実した日々だったが、閉園前の打ち上げ花火越しに見る飛行機に、もやもやが募った。「なぜ自分はあの中に乗っていないのか…」。1年間働いた後、人生のかじを切り直す決心をした。

 

2017年、日本航空(JAL)のグループ会社であるJTAのCA募集を知り、採用試験に挑戦。創立50年の歴史で男性CA第1号として入社した。最初は「男性CA」を意識するあまり、女性CAと同じ接客訓練を受けることにも疑問を感じていたという。しかし、当時の訓練部長の一言が意識を変えた。「私たちはあなたを男、女で区別しているわけではなく、一人のプロのCAとして育てている」。どうすれば乗客に満足してもらえるか、それまで以上に心を配るようになった。

 

「最初はお客様の方言が聞き取れず、先輩に泣きついたこともあります」と笑う大谷さん。「はいさい、ぐすーよー、ちゅーうがなびら(こんにちは皆さん、ご機嫌いかがですか)」。JTA名物のしまくとぅばによる機内アナウンスも、すっかり板に付いた。

 

■ドラマや漫画でも注目

 

日本の航空会社で最初に男性CAを採用したのはJALで、1953年に1期生10人が入社した。現在、CA約7千人のうち男性は2%の約150人だ。全日空(ANA)は約8400人のCAのうち男性は0・7%の約60人。ほとんどが海外を拠点とする外国人男性CAで、人事の一時的な配置でCAを経験する男性社員はこれまでもいたが、専門職としては2019年に初めて日本人男性4人を採用した。JTAは約300人のCAのうち大谷さんを含め3人が男性だ。

 

男性CAは増えてきたとはいえ、まだまだ少ないのが現状。大谷さんも機内で通りすがりに「なんだ男か…」とつぶやかれることがあるという。それでも、荷物の上げ下げや酔客の対応などの保安面で男性CAに期待される役割もある。

 

漫画「空男」やドラマ「おっさんずラブ」で題材になり、男性CAは注目が高まった。一方で、ドラマが男性同士の恋愛を描いていたため「男性CAってそういう人が多いの?」と聞かれる悩みもあるという。大谷さんは「JTAはダイバーシティー(多様性)に力を入れている会社でもあります。男性も女性も関係なく、大事なのはCAとしての素質があるかどうか。CAイコール女性というイメージを払拭していければいいなと思っています」と笑顔で話した。

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