北谷町のチョコレート専門店「TIMELESS CHOCOLATE(タイムレスチョコレート)」は、原材料として使用する黒糖づくりのため、サトウキビの栽培から取り組んでいる。スタッフ全員が農業の素人のため、一からサトウキビを学んだ。自ら栽培を始めた理由について、同店マネジャーの宮崎雄志さんは「僕らが扱う食材を理解したかった。沖縄でしか作れないチョコをこれからも作る」と語る。
同店はカカオ豆を自家焙煎し、白砂糖の代わりに県産黒糖を合わせてチョコレートに仕上げる。保存料や乳化剤などは一切使用せず、原材料はカカオ豆とサトウキビだけという、素材本来の味わいにこだわっている。
原料から一貫して手掛けようと、昨年11月、スタッフやその家族で宜野座村の畑に苗を植えた。店で廃棄になったカカオ豆の殻を肥料にするなど、試行錯誤を重ねる。胸の高さまで成長したサトウキビは、今年12月に収穫を迎える。
同店に黒糖を卸す宜野座村の黒糖職人、渡久地克(すぐる)さんも栽培指導に協力した。渡久地さんは「収穫が卒業検定だ。どんな黒糖になるだろう」と笑顔で話す。
スタッフ自ら栽培に関わることで、農家の苦労や黒糖の価値に気付いた。栽培を始めてから、客との会話の引き出しも増えたという。チョコレートを手に取る人に、黒糖の良さを伝えられるようになった。
収穫したサトウキビは、そのまま黒糖として販売するという。宮崎さんは「黒糖そのものを売ることで、僕らが選んでいる原料を信頼してほしい。沖縄の黒糖の良さを伝えていきたい」と意気込んだ。 (石井恵理菜)
関連カテゴリー: