閉鎖された米軍普天間飛行場の野嵩ゲート。通常は開いていることが多い=7日午後6時10分、宜野湾市野嵩 画像を見る

 

米軍普天間飛行場に住む米軍属複数人が新型コロナウイルスに感染したことが7日、判明した。米海兵隊は発表で「複数人」にとどめ、感染者数を明らかにしていない。5人との情報もある。県も複数人としか知らされておらず、感染者数を把握していないと本紙に答えた。沖縄防衛局、外務省沖縄事務所も午後8時現在、感染者数を把握できていない。感染者らは同じ場所で働いており、5人以上なら「クラスター(集団感染)」に分類される。海兵隊は感染源が不明としている。

 

7日、感染が確認されてから日本人を含む従業員らは基地内の職場にとどまるよう指示された。全駐労沖縄地区本部や基地内で働く関係者によると、待機は午後3時ごろから始まり、同7時ごろまで続いた。米海兵隊によると、陽性者と濃厚接触者は隔離している。

 

7日午後5時、米海兵隊から県に連絡が入った。金城賢知事公室長は開会中の県議会定例会で報告した。玉城デニー知事は県議会終了後、報道陣に「米側や防衛局と情報をやり取りし、県民の皆さんが不安を覚えることがないよう出せる範囲は情報を出して注意を呼び掛けたい」と話した。

 

午後6時前、松川正則宜野湾市長に普天間飛行場の基地司令官ヘンリー・ドーベリー大佐が電話で知らせたが、感染者数などの説明はなかった。松川市長は「市民に不安が広がらないよう対策をしてほしい」と詳細な情報提供を求めた。

 

米軍嘉手納基地で3月、兵士2人と兵士の家族1人が感染した。海兵隊では今月1日、うるま市のキャンプ・マクトリアスに駐留する隊員の家族1人が検査で陽性となった。

 

識者「フェンス一つでウイルス防げない」

 

米軍普天間飛行場に所属する軍属の複数人が新型コロナウイルスに感染したことについて、識者からは詳細な感染情報の提供などを求める声が相次いだ。

 

県立中部病院感染症内科の高山義浩医師は「沖縄の地域医療にとって市中とリンクがあるかどうか必要な情報であり、救急外来の警戒をどれだけ高めて対応するかという点でも重要な情報だ」と米軍による情報提供を求めた。また「本来なら保健所が疫学調査を始めるタイミングだ。基地のフェンス一つでウイルスは防げない」とし、日米調査の必要性を指摘した。

 

ジョンズ・ホプキンズ大学によると、日本時間7日午後9時現在、米国の感染者数は293万8625人で、死者は13万306人。基地問題に詳しい沖縄国際大の前泊博盛教授によると7、8月は米軍の異動時期で、例年5千人~7千人規模の米軍人が移動するという。前泊教授は「在沖米軍人の3分の1は基地の外にで暮らす。感染大国の米国がそばにあることを意識した対応が県に必要だ」と指摘した。

 

米軍関係者は感染者が増え続けている米本国と直接往来できることから、沖縄国際大の佐藤学教授(政治学)は「感染者の行動履歴などの情報共有がされなければ、リスクになりかねない」と指摘した。

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