感染防止を徹底して宿泊客を迎える準備をしている民宿ごーやー荘の野下秀広さん=7日、沖縄市胡屋 画像を見る

 

「観光が悪になっていることが悲しい」「国の施策が裏目に出ている」―。県内の新型コロナウイルスの新規感染者数が急増を見せる中で、県外との往来を規制するかどうかなど、観光客の受け入れを巡ってさまざまな意見が交わされる。一方で、夏休みに沖縄行きを予定していた人たちの旅行取りやめも既に広がっている。観光のハイシーズンとなるはずの夏場の感染再拡大に、観光事業者は苦しい胸の内を抱える。

 

「今行っても大丈夫でしょうか」 ハイシーズンに相次ぐキャンセル…沖縄・宿泊施設の今

 

2019年に1千万人を超えた観光客。大型リゾートホテルだけでなく、民宿やコテージなど個性豊かな宿泊施設が多様なニーズに応え、沖縄観光のリピーター増に貢献してきた。

 

沖縄市で17年続く民宿「ごーやー荘」もそんな宿の一つだ。オーナーの野下秀広さん(51)は「国の持続化給付金、県や市の支援金に救われたが、3カ月を乗り切るのがやっと」と現状を語り、5~6月は短期のアルバイトをして日銭を稼いだ。

 

国内客がほとんどで、3月まではそれほど影響を受けていなかったが、4月の緊急事態宣言以降、予約はほぼゼロになった。県の「沖縄彩発見キャンペーン」、政府の「Go To トラベル」の行政による観光支援事業に期待した。しかし、ふたを開けてみると高級リゾートに予約が殺到したのに対し、ごーやー荘のような小規模の宿にはほとんど恩恵がない。

 

「沖縄好きの人ほど『沖縄に迷惑をかけてはいけない』と、旅行に慎重になっている」といい、回復は見通せない。生活のためには観光客に来てほしいが、今の感染拡大状況を見ると沖縄に「来てください」とも言えない。SNSで観光客の存在に神経質になっている論調も目にする。

 

沖縄観光コンベンションビューローの「2019ウェルカムんちゅリーダー」に任命されるなど、観光の仕事に誇りを持ってきた。それだけに「自分の宿に客が少ないことよりも、観光が悪になっていることが悲しい」と唇をかんだ。

(玉城江梨子)

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