新型コロナウイルスの影響で業績が悪化した事業者を支援する「持続化給付金」を巡り、県内で不正に給付金申請をする事例が相次いで確認されている。不正受給者は「虚偽書類を作成して申請をしたら、100万円が振り込まれた」「友人はみんなやっている」などと話す。県消費生活センターは「不正受給の手口がSNSで拡散している。県内でも横行している可能性がある」と警鐘を鳴らす。悪質な場合は刑事責任を問われることもある。
県消費生活センターによると今月、10代のアルバイト女性から「不正に申請をしたら100万円を受け取れた。アドバイスを受けた人に30万円支払った」と相談があった。7月には県内の学生から「知人らと虚偽の確定申告をした上で、ネットで給付金の申請をした」などの相談を受けた。学生は相談の翌日、申請取り下げの手続きを行ったという。
不正受給の動きはSNSなどを介して広がる。学生や主婦など受給資格のない人を誘い、虚偽の確定申告を促す。事業者を装った書類を作成させ、インターネットで給付金の申請を行う。不正に受給した現金のうち一部が指南役に支払われるという。全国では、不正に受給した19歳の大学生などが詐欺容疑で逮捕されている。
同センターには7月末までに給付金に関する相談が23件あり、このうち持続化給付金の不正に関する相談は8件あった。8月には「手数料に40万円請求された」「悪いことをした。全額返済したい」などと、複数の相談が寄せられている。同センターの担当者は「支給の迅速化を図った制度につけ込んだ悪質な手口だ」と指摘。「コロナ禍が落ち着けば、不正受給は発覚する。安易に誘いに乗らないでほしい」と注意を呼び掛けた。
県警は7月から8月22日までに「持続化給付金」に関連した詐欺まがいのメールや電話を少なくとも3件確認している。県警は犯罪行為が確認されれば厳正に対処するとしている。
(高辻浩之)