沖縄初の芥川賞作家の大城立裕さんが亡くなってから一夜明けた28日、県内では悲しみが広がる中、大城さんの著書を扱う書店や図書館では早くも追悼コーナーが設置された。出身地の中城村では追悼展示の企画も進む。作品を前に足を止めた県民は、琉球・沖縄の歴史を独自の視点で書いた作品に触れ、大城さんへの思いをはせた。
ジュンク堂書店那覇店は1階のレジ横に追悼コーナーを設置。芥川賞受賞作「カクテル・パーティー」や沖縄問題の根源に迫った「小説琉球処分」など15作近くを並べた。今年5月に出版された自伝的小説「焼け跡の高校教師」の書評を書いた森本浩平店長は「沖縄の文学界を支えた人。今こそ読んでほしい」と思いを込めた。
影響は古本を扱う店舗にも出始めている。那覇市泉崎の古書店「ちはや書房」では、ネットオークションに出品していた大城さんの作品「ノロエステ鉄道」に注文が入った。櫻井伸浩店主は「うちは歴史物を求める人が多い。琉球処分などが売れるのでは」と語った。
大城さんの著作が読める図書館でも特設コーナーが設置されている。那覇市泉崎の県立図書館は5階に追悼コーナーを設置し、23冊を陳列した。大城さんの出身地、中城村にある「中城村護佐丸歴史資料図書館」は従来から特設コーナーを常設しているが、今後は特別展も企画している。
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