丑年だからこそ見に行きたい! ひそかなブームを迎える闘牛の見どころを徹底解剖 【島ネタCHOSA班】
當山さんが育てる「大進♡ぱNダ」。普段はとてもおとなしいのですが、試合ではどのような姿を見せてくれるのでしょうか 画像を見る

新年は干支にちなんだことを何かしてみよう、と考えていたところ「闘牛を見に行きたい」と子どもたちから提案がありました。私も一度しか見たことがなく、細かいところは分かっていないのですが、初めての人も会場に行けば牛の迫力で十分楽しめる! ということは知っています(笑)。初歩的な質問ですが、闘牛をもっと面白くみることができるような情報を教えてください。
(那覇市 レッドブルじょーぐー)

 

あけましておめでとうございます! 新年一発目の島ネタは闘牛の話題ですか。力強く闘う牛たちの勇姿から、元気をもらえそう!

 

と、意気込んだ調査員。突進するような勢いで県闘牛組合連合会の副会長、辺土名朝也さんに電話し「闘牛の魅力について教えてください」とお願いしてみました。すると、

 

「実際に闘牛を飼っている人たち2組を紹介するから、そこで聞いてみればいいはずよ~」

 

との答え。何でも、大会では見られない牛や飼い主さんたちの姿を知ってほしいそうです。これは貴重なお話も聞けそうなので、2組の牛舎があるうるま市勝連南風原へと足を運びました。

 

闘牛女子、登場

 

1組目はなんと現役高校生の飼い主。中部農林高等学校3年の當山彩聖(あやせ)さんです。調査員の目の前に自身が育てる闘牛「大進♡ぱNダ(たいしんぱんだ)」の巨体を引き連れ當山さんが現れたときは、自然と「かっこいい~!」と口に出していました。

 

幼い頃から父親が生業とする繁殖牛の飼育を手伝っている當山さん。その流れで闘牛の世話もするようになったと話します。初めて自分の闘牛を持ったのはなんと4歳。この時はさすがに周りの大人が世話をしていたのですが、牛の名前は「ひよこ組あやせちゃん号」だったそうです。

 

普通の繁殖牛以上に気を使い世話しなければいけないという闘牛。當山さんは毎朝、ふんを掃除しながら体調の変化を確認。昼は日なたぼっこ、夕方は散歩をさせ、週に一度は稽古もつけています。稽古はほぼ同程度の体格の牛と練習試合をさせたり、砂浜を歩かせ足腰を鍛えるといった内容です。1日の世話が終わるのは毎日20時ごろ。當山さんは昼間学校で学びながら、この日課を欠かさず行っています。

 

牛は家族同然

 

當山さんにとって忘れることのできない牛が、以前育てていた「大進彩風(たいしんあやかぜ)」です。すでに闘牛としてはリタイアしていましたが、世話や稽古など初めて全てを任された牛だったそう。

 

家族同然の関係で、お昼寝もクリスマスも一緒だったというから驚きです。ずっと一緒に過ごしていたので、大会の際には共に出場しているという気持ちになったのだとか。

 

「大進彩風が大会で負けたときが、今まで経験した中で一番悔しくて泣きました。勝っても負けても大泣きしてしまうんですけどね」

 

話すときはすらすらと語る當山さんですが、大会の時は牛に対する熱い思いが出てくるようです。 試合に勝利してほしいという気持ちにも増して、負傷してほしくないという願いも強いので「男のきょうだいがボクシングの試合に出る、みたいな気持ちなのかな」と例えてくれました。飼育家の方と闘牛の絆がこんなに強いものだったなんて、と調査員はただただ目からウロコでした。

 

當山さんは最後に「闘牛大会を見る時には、牛を飼っている人たちの思いも感じとってほしいです」と笑顔で話してくれました。

 

地元の仲間で飼育

 

闘牛は個人での飼育以外にも、複数人がチームとして共同で主になる場合があります。

 

今回紹介する2組目は、約1年半前に結成したばかりのチーム「戦牛寿会(ぜうすかい)」。

 

牛舎を訪ねると、6歳のオス「南星戦牛寿(なんせいぜうす)」を囲んでメンバーたちがおしゃべりしているところでした。周囲ではメンバーの子どもたちも遊びまわっていてのびのびとした雰囲気。ここに集まっている人々はどんな関係なんでしょう。

 

「地元、勝連南風原の先輩後輩でやっているのがこのチーム。20代から70代までの9人が共同で世話をしています」

 

そう教えてくれたのは戦牛寿会のリーダー、牧門司さん。運送業に従事する傍ら、闘牛を飼育しています。戦牛寿会は専業の畜産農家ではなく、闘牛が好きという共通点を持った人たちで構成されているのです。

 

チームに決まりごとはなく「できる人が世話をしている」とのことですが、毎日夕方になるとそれぞれの仕事を終えたメンバーが牛の様子を見に集まってくるそうです。週末はそれぞれが家族や友人を連れてくるので牛舎はさらに賑やかに。

 

大きな牛を育てるのは難しそうだと思っていましたが、気の合う仲間同志なら毎日が楽しくなるかもしれません。

 

普段と試合のギャップ

 

南星戦牛寿のブラッシングをしていた会の女性メンバー3人にも話を聞いてみました。南星戦牛寿はどんな牛ですか?

 

「つぶらな瞳がかわいくて甘えんぼう。大きい犬みたいな性格です」

 

と答えてくれたのは、松尾茜さん。一緒にいた識名奈生子さん、宮城姫花さんも笑顔で同意しています。言われてみれば、目元がくりっとしてかわいいですね。3人に「ゼウス~」と話しかけられながら、ブラシされている姿は犬っぽいかも。

 

「でも闘牛は試合前になると目が変わるんですよ」と宮城さんが教えてくれました。普段から接しているとこの「ギャップ」がかっこいいと思えるんですって。

 

実は戦牛寿会の立ち上げのきっかけになったのは、この3人を含めた女性メンバーたち。闘牛大会を見に行った際に「牛、飼ってみたいね~」と話したことが始まりだったそうです。これを地元の先輩、牧門さんに相談したところ、会を立ち上げて共同で飼育しよう、という提案に。そこへタイミングよく買い主を探していた戦牛寿に出会うことができたのです。

 

お正月は闘牛大会へ!

 

當山さんが大切に育てる大進♡ぱNダ、にぎやかな飼い主たちと出会った南星戦牛寿は、1月2日(土)の「リザンシーパークホテル谷茶ベイ杯 新春華牛大闘牛大会」で沖縄でのデビュー戦を迎えます。大会の見どころを闘牛リングアナウンサー、伊波大志さんに聞きました。

 

「まずは何と言っても大一番のきむたか零(ぜろ) 対 柿乃花ホワイトフェイスです!」と力を込める伊波さん。中量級タイトルの有力候補が登場し2021年のシーズンを占う試合となるでしょう。続いて注目なのが「龍力王(りゅうりきおう)」対「マンモス一華剛(いっかごう)」。2頭とも1000キロ超の超大型特番で「迫力が違いますよ」とのこと。

 

番付は下位になりますが、「大志パンダ☆さくら」対「ハヤタカ7ちゃん」の試合にも注目。こちらは、飼い主同士が同い年なので「昭和32年生 同級生対決」と銘打たれています。伊波さんは「幼いころからの友人と年を重ねても競い合う。人間ドラマが見られますよ」と解説してくれました。

 

2日の大会の他、正月3が日は県内で毎日闘牛大会が開かれています。丑年のこの機会にぜひ足を運んでみてください!
(2021年1月1日 週刊レキオ掲載)

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