航空自衛隊那覇基地から泡消火剤が流出、飛散した2月26日の事故で、琉球新報の記者が現場近くから採取した泡を京都大の原田浩二准教授(環境衛生学)が分析した結果、有害性が指摘されている有機フッ素化合物PFOS(ピーフォス)が9日までに検出された。空自の「PFOSは含まれていない」とする説明と食い違っており、説明の根拠が問われる。原田准教授は「今回流出した泡は、昨年4月に米軍普天間飛行場から流出した泡と環境に対する影響はほぼ同じだ。十分な調査をせず、被害を過小評価していたのではないか」と指摘し、空自の対応を疑問視した。
採取した泡からPFOSが検出されたことについて、空自は「現在事実を確認中で答える段階にない」とコメントした。その上で「基地の北東方向の赤嶺を中心とした範囲に泡が拡散したことは確認している」とし、付近の土壌や河川を調査する予定については「検討中だ」と説明した。
空自によると、消火剤が流出した基地内の水路から消火剤を含む汚染水約6千リットルを回収済みだが、基地外に飛散した泡は回収していない。
事故後、空自はPFOSを含む泡消火剤を非PFOS薬剤へ交換した後の圧力試験で配管が破裂し、PFOSを含まない方が流出したと県に説明していた。
しかし今回の本紙による調査では、泡消火剤の中にPFOS1リットル当たり244ナノグラムが検出された。この他にも複数の有機フッ素化合物が検出された。PFOA(ピーフォア)は1リットル当たり13ナノグラムだったほか、有害性と人体に蓄積される性質が指摘されているPFHxSは1リットル当たり34・8ナノグラムだった。6:2FTSの値は最も高く、1リットル当たり約3万9千ナノグラムだった。
琉球新報は2月26日、空自那覇基地から約100メートル付近の地面に付着していた泡をプラスチック製コップ半分ほどに採取し、原田准教授に分析を依頼した。今回の分析で得た数値は、泡に含まれる有機フッ素化合物の濃度の値を算出した。持ち運びや輸送の際に有害物質が分散し、実際よりも数値が低く出ている可能性がある。
(長嶺晃太朗、明真南斗)