航空自衛隊那覇基地から飛散した泡消火剤=2月26日、那覇市高良 画像を見る

航空自衛隊那覇基地から泡消火剤が流出した事故で那覇基地は7日、ウェブサイトで調査結果を公表した。有害性が指摘される有機フッ素化合物の一種PFOS(ピーフォス)が消火剤に含まれていたことを認め、当初の説明を訂正し謝罪した。事故当日に基地内の水路から回収した汚染水からは、最大でPFOSが1リットル当たり3010ナノグラム、PFOA(ピーフォア)同3380ナノグラムが検出された。国が定める暫定指針値(両物質の合計が水1リットル当たり50ナノグラム)の128倍に上る。基地内の水路から後日採水した那覇市の調査でもPFOS・PFOAが計同360ナノグラム検出され、国の指針値の7倍を超えた。

 

自衛隊は当初、PFOSは含まれていないと説明していたが、琉球新報の報道を受けて調査に乗り出し、誤りを認めた形だ。井筒俊司航空幕僚長は「非PFOS薬剤に入れ替えた後との認識が先行してしまった結果、基地周辺住民への注意喚起が不十分となり、多くの方々に不安を与えて誠に申し訳なく思う」と陳謝する声明を発表した。

 

自衛隊はPFOSを使わない消火剤に交換した際、配管を洗い流しておらず、PFOSの成分が残っていたと説明。事故が発生した2月26日に回収した汚染水はドラム缶で保管していた。別の有機フッ素化合物PFHxSも1リットル当たり3040ナノグラム検出された。

 

自衛隊によると、事故から2週間たった3月12日に水路下流から回収した水からはPFOSは検出されなかった。PFOAは1リットル当たり39ナノグラム、PFHxSは同194ナノグラムだった。一方、同じ日に採水した那覇市の調査では国の暫定指針値を超えるPFOS・PFOAが検出されており、自衛隊は再度分析する。

 

3月17日に採取した土壌はPFOSとPFOAのみ分析し、それぞれ最大で1リットル当たり19ナノグラム、同24ナノグラムだった。

 

琉球新報の記者が現場近くから採取した泡を京都大の原田浩二准教授が分析したところ、PFOSが検出されたため3月10日付で報じた。

 

有機フッ素化合物 PFOAやPFOSなど多くの種類が存在する。化学的に安定し、水や油をはじく性質があり、金属メッキ処理剤から調理器具といった身近なものまで広く使われてきた。環境中でほとんど分解されないため「永遠の化学物質」とも呼ばれ、人や動物の体内に蓄積する。発がん性のほか、出生時の体重に影響が生じる可能性が指摘される。

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