販売が再開される沖縄定番の赤色と黄色のウメーシ=2021年5月10日、撮影 画像を見る

沖縄の食卓で親しまれてきた赤色と黄色のウメーシ(箸)が復活する。県外メーカーの廃業によって生産中止となっていた。那覇市内の就労支援センターの利用者らが製造を請け負い、20日から県内販売を開始する。卸元のカネナガ商事(同市壺屋)の田川信次代表(43)は定番の復活に「県内生産のウメーシを販売できてうれしい。おいしく食事をしてほしい」と呼び掛けている。

 

ウメーシは、県内で流通している竹製の箸。2019年6月に製造元である竹材加工業「中西竹材工業」(鹿児島県薩摩川内市)が廃業し、生産中止となっていた。

 

そんな中、那覇市繁多川の就労支援センター「心輪(しんわ)」が協力を名乗り出て、利用者10人ほどで製造に取り組み、1年半ほど前から試作を続けてきた。

 

箸1本に塗料などを7回重ねるため、完成までは1週間半を要する。

 

5月10日、事業所内では箸の塗り上げ作業が進められた。天候の影響もあるが、1カ月で出荷できるのは800~千膳ほどだ。田川さんは「大量生産はできないが、一つ一つ丁寧に仕上げている」と思いを込める。

 

心輪利用者の宮良菜津美さん(29)は「やりがいがある仕事だ。販売が実現できてうれしい」と笑みを見せた。伊集滝美所長(70)は「障がいのある利用者たちの頑張りにつながっている」と話した。

 

田川さんによると、ウメーシは大正から昭和初期にかけて県内で製造・使用された歴史的記述があるものの、「誰が最初に製造したか」「なぜ赤・黄色なのか」など具体的な内容は明らかになっていない。記録として保存するため、今後ウメーシや関係資料などを市歴史博物館に寄贈する考えだ。

 

製造した「元祖沖縄県産赤黄うめ~し」は1膳500円(税込み)、10膳入りで4500円(税込み)。カネナガ商事と心輪の2カ所で販売する。今後取り扱う店舗を増やすほか、県外の人も手に取れるようネット販売やセレクトショップのビームス(東京)でも取り扱いを予定している。

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