両手で砂をかき分け、海を目指すアカウミガメ=14日、糸満市喜屋武の海岸 画像を見る

【糸満】カメ、海へ帰る―。糸満市喜屋武の海岸で、岩礁の上で身動きが取れなくなり市民らに救助・保護されていたアカウミガメが14日、けがの状態が回復し8日ぶりに海に帰った。地元やラジオ界でカメ好きとして知られる「亀仙人」こと徳村弘輝さん(66)や美ら海水族館の職員、学生、警察官らがカメの無事を喜び、送り出した。

 

カメは5日に産卵後、海に戻る途中、でこぼこした岩礁の上で負傷し出血していた。徳村さんや同水族館の職員らによって救助され、トラックで同水族館まで運ばれた。

 

その後、順調に回復。同水族館でウミガメ担当の小淵貴洋さん(35)によると、産卵期は食欲不振に陥るカメもいるが、このカメはイカや魚をほおばり「食欲旺盛」だったという。腹にあったすり傷も治り、血液検査でも異常はなく「元気」そのもの。エコー診断すると、体内には卵があった。2週間後くらいにはまた産卵するという。体調良好なことや、天候、潮の干満を考慮し、この日海に帰すことにした。

 

梅雨晴れの中、約20人の市民らが集まった。5日の救出に参加した糸満署の警官の姿も。

 

琉球大のウミガメ研究会「ちゅらがーみー」の学生4人と小淵さんら職員2人の計6人が、カゴに入った106キロのカメをトラックから浜に運んだ。カメはカゴから出ると、両手でのしのしと砂をかき分け5メートル程進んだ。海に入る直前、なぜか5秒停止。帰る決意を固めたのか、海に入ると、一気に沖合まで泳いでいった。見守った人たちは「良かったね、おかえり」など温かい言葉を送った。

 

愛犬「カカロット」とともに来た「亀仙人」こと徳村さんは「元気で良かった。また無事に産卵しに戻ってきてほしい」と話し、目を細めた。

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