敷地内にホットスポットを放置!環境省の“デタラメ除染”前篇

投稿日: 2017年03月10日 17:00 JST

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「環境省は信じられません!『除染が終わりました』という通知が届いたので戻ってみたら、線量計の警報音がピーピー鳴ります。そんなところに孫を連れて帰れません」(上田ミチさん・仮名/67歳・都内に避難中)

「自宅の寝室は、毎時0.5マイクロシーベルトあります。ここで寝ていたら年間2ミリシーベルトの被ばくです。夫は原発事故のせいでうつ病と認知症を発症し、『浪江に帰りたい』と言いながら避難先で亡くなりました。彼とふたりで必死に建てた家だから月に一度は自宅を掃除しに帰っていますが、いくら安全だからと言われても年間1ミリシーベルト(※)になるまでは戻れません」(門馬昌子さん/74歳・都内に避難中)

 

除染をしてもまた線量が上がってくる

 

2月初旬、東京都内で開かれた浪江町民を対象とする避難指示解除に関する住民懇談会の場で、こうした悲痛な叫びが響き渡った。懇談会場の前方には、環境省や内閣府の官僚たちがズラリと並んでいたが、住民が懸命に話している間にも、うすら笑いを浮かべる者もいた。別の日に同じく都内で開かれた富岡町民に対する懇談会でも、神奈川県に避難中の佐藤信行さん(65)は、官僚らに、こう疑問を投げかけた。

 

「除染しても時間が経つとまた線量が上がっています。そんな場所で、どうして生活できるのですか?」

 

しかし、環境省の担当者は、「現地を見てみないとわからないので、個別に対応します」と木で鼻をくくったような返答に終始。住民からは、ためいきまじりの失笑がもれた。浪江町と富岡町は、福島第一原発から20キロ圏内に位置。両町合わせて2万人近い町民が、今も日本各地に避難中だ。福島第一原発事故から6年。政府は「年間被ばく量が20ミリシーベルトを下回った(※)」として一部の帰還困難区域を除き、浪江町、飯舘村、川俣町山木屋地区の避難指示を3月末に、富岡町は4月1日に解除すると決定した。

 

除染費用を2.5億から4億に引き上げた

 

それでも、冒頭のように解除に反対する住民は少なくない。復興庁の住民意向調査でも、「避難指示が解除されたらすぐに、あるいはいずれ戻りたい」と回答したのは浪江町で17・5%、富岡町で16%。理由は、病院やスーパーなど、生活のためのインフラが整っていないこともあるが、「除染しても、安心して暮らせるほど線量が下がらない」ことも大きな要因だ。除染に詳しく、原発事故後は各地の汚染状況を測定し続けている「特定避難勧奨地域の会」の小澤洋一氏は、環境省のデタラメ除染についてこう語る。

 

「環境省の除染基準にそもそも問題があります。長期的に年間1ミリシーベルト(毎時0.23マイクロシーベルト)を除染の長期目標にしていますが、時期をはっきり区切っていないので、その目標にはまだ程遠い場所が多い。それどころか、ところどころにもっと高いホットスポットが点在します」

 

それなのに政府は昨年末、除染にこれまでかかった費用の試算を、2.5兆円から4兆円に引き上げた。これから始まる帰還困難区域の除染には、さらに税金300億円が投入される。それにもかかわらず線量がさがっていないなら大問題だ。本誌取材班は2月末、小澤氏とともに浪江町と富岡町を訪れ、除染の実態を検証した。

 

 

線量計も持たないで作業をする業者も

 

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本誌取材班が最初に訪れたのは、富岡町の佐藤さん宅。佐藤さん宅は“夜ノ森の桜”で有名な桜並木の近くにあり、4月1日に避難指示が解除される“居住制限区域”に指定されている。しかし、道一本隔てると、避難解除のメドも立っていない“帰還困難区域”。今でも境界の道路には、「立ち入り禁止」のバリケードが建てられている。

 

「帰還困難区域と線量も変わらないのに、なぜうちは、早々に避難指示が解除されるんでしょうか」

 

佐藤さんが以前、富岡町役場に質問したところ、こんな答えが返ってきたという。

 

「当初、あなたの住所は“帰宅困難区域”に該当していたが、富岡町としては有名な桜通りを少しでも残したいので、あなたのエリアを“居住制限区域”にしました。それに富岡町は、線量・汚染の基準を超える場所が点在していて、それを全部“帰宅困難区域”にしたら、冨岡町は復興が困難になってしまう」

 

佐藤さんは「除染したって住める環境ではないのに」と憤る。佐藤さん宅の庭を測定すると、地表から1メートル高で平均毎時0.5~1マイクロシーベルト。毎時約0.6マイクロシーベルト以上という“放射線管理区域”に相当する値だ。

 

「放射線管理区域では、18歳以下の就労は禁止。成人でも10時間以上の滞在は禁止。飲食も禁止、と法令で定められているんです」(前出・小澤氏)

 

立ち入りを制限される線量が見られたが、さらに測定を続けると家の裏手の物置付近では、地表面で毎時3.23マイクロシーベルト、門のコンクリートブロック周辺では、毎時1マイクロシーベルトなどホットスポットが放置されていることがわかった。

 

「除染の下請け業者によっては線量計も持たずに作業をしているところもあります。彼らは下がろうが下がるまいがお構いなしなんです」

 

効果を確認しないまま作業を終えることもあるというずさんさ。結果、高線量の汚染が放置されている。さらに取材班が、佐藤さん宅の庭の測定を続けていると、小澤さんが異変を発見した。

 

→中編へ続く

 

取材・文/和田秀子

(※)1ミリシーベルト

ICRP(国際放射線防護委員会)が勧告している平常時の一般人の年間追加被ばく線量限度は1ミリシーベルト。原発事故などがあった際の“緊急時”は、20ミリから100ミリの間で設定するよう勧告を出している。政府は、これに基づいて避難指示解除の目安を、年間20ミリシーベルトを下回った地域と設定している。ただし、原発事故から6年たったいまも“緊急時”かどうか政府はあいまいにしている。

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