中畑清 極秘がん闘病妻と祝った「病室での誕生パーティ」

 

横浜DeNAベイスターズ監督・中畑清さん(58)の妻・仁美さんが125日に亡くなった。享年59。今年2月に子宮頸がんと診断され手術したが、再検査で患部の下に新たな悪性腫瘍が見つかった。8月には抗がん剤治療を開始し、東京大学医学部附属病院へ転院。このとき、他臓器にも移転していることがわかった。

 

「先生から『来年、桜の花が見られるかどうか』と言われた。事実上『余命半年』を宣告されたんだ。抗がん剤も効かなくて」(清さん)

 

そして1117日、最後になるのを覚悟のうえで、仁美さんを一時帰宅させる。中畑家では仁美さんの誕生日には毎年、必ず家族でお祝いしてきた。今年の1121日、59回目の誕生日も自宅で盛大にパーティをと計画していた。しかし前夜に具合が悪くなり、緊急入院することになってしまった。

 

そのパーティに行く予定だった記者は、慌てて東大病院の病室を訪れた。仁美さんは腕を点滴でつながれ、口には大きなマスクをつけ、半身を斜めに起こした状態でベッドに寝そべっていた。

 

「かあちゃん、記者の鈴木が来てくれたよ。ほら、誕生日のプレゼントも持って来てくれたんだ」清さんが言う持参したのは、サンキャッチャーという虹色のガラスを重ねた風水の縁起もので魔除けの意味も持つ。「うわあ、とってもすてきね」と、か細い声ながらマスク越しに仁美さんがほほ笑んでいるのがわかった。

 

夕方5時ごろ、清さんはルームサービスでハンバーグ定食とサラダを注文。それが届くとコーンスープを仁美さんのところに運び「さあ、かあちゃん、おいしそうだよ。俺がつくったんじゃないけどな。東大病院の一流シェフがつくったスープだ」と清さん。時間をかけ4分の3ほど飲んだところで、清さん満面の笑みをうかべて「かあちゃん、すごいじゃん!完食じゃないか、元気が出てきた証拠じゃないか!」

 

そこへ来年2月に第1子を出産予定の長女・恵さん(31)が現れた。さらに続々と親戚が集まってくる。10人ほど集まったところでジュースやお茶が配られた。ミネラルウォーターを手にした清さんが話しだした。

 

「今日はお忙しい中、かあちゃんの誕生会にお集まりいただき、ありがとうございます」するとどこからともなく『ハッピーバースデー、トゥーユー』が歌いだされ、全員で合唱した後に乾杯。「3人目の孫は男か女か」の話題でひとしきりわいわい騒いでから、みな三々五々帰っていった。

 

7時過ぎ、再び、病室に2人の静かな時間が訪れた。

 

 

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