(写真:アフロ)
「まわりは右ヒザを心配していますが、彼は練習量を減らすどころか増やしているようです。オータムクラシックでは見せなかった4回転ルッツを何度も飛び、周囲から『ケガをしているとは思えない』と驚きの声が上がっていました」(フィギュアスケート関係者)
10月20日から始まるロシア杯に出場する羽生結弦(22)。9月のオータムクラシック直前に右ヒザ痛を訴えていたことが発覚していたが、平昌五輪の前哨戦ともいえるグランプリシリーズの初戦とあって並々ならぬ闘志を燃やしているという。
15年1月には右足首を捻挫し、昨年4月には左足リスフラン関節じん帯を損傷。そして右ひざを故障してもなお飛ぶことをやめない羽生。いったい何が彼をここまで駆り立てているのかーー。
今季フリープログラムに2年前の演目『SEIMEI』を選んだ羽生。映画『陰陽師』の安倍晴明を題材にしたこの演目で、羽生は過去に世界新記録を連発してきた。そんな勝負曲を再演するにあたり、羽生はシーズン直前の6月に京都・晴明神社を訪れていたという。宮司がこう語る。
「羽生さんは2年前に参拝した後で世界最高得点を出すことができたため、そのお礼参りに来られました。境内には樹齢数百年という大きな楠のご神木があるのですが、それを両手で抱きかかえるようにしてパワーをもらっていました。そして参拝の際は表情をひきしめ、凛とした佇まいでじっと前を見つめていました」
そのとき彼が絵馬に書いたのは 《私の演技がきっかけで、皆さんに幸せがおとずれますように》という願いだった。羽生はその足で神戸の弓弦羽神社も参拝。ファンの聖地となっているこの神社。絵馬には《私が少しでも導きの光となれますように》との言葉も綴られていた。実は、それらの思いは羽生選手が抱き続けた“父との約束”でもあるという。
「父・秀利さんは息子の名前を付ける際、“弓を結ぶ弦のような凛とした人間になってほしい”と願いを込めたそうです。羽生選手としては五輪シーズンを前にして不安もあるはずです。しかし苦しい時期だからこそ、父が願った凛とした人間でありたいと思った。その“命名の思い”を胸に刻む意味もあり参拝したのでしょう」(前出・フィギュア関係者)
絵馬に壮大な夢を書き込むことで、自らを鼓舞している羽生。家族やファンの想いを胸に、羽生の挑戦は続く。