4月13日の12時すぎ、東京・調布市にある「武蔵野の森総合スポーツプラザ」の駐車場に1台のワンボックスカーが止まった。中から出てきたのは、羽生結弦(23)。自身がプロデュースするアイスショー『Continues‐with Wings‐』に出演するため、会場入りした。
開演時間は18時にもかかわらず、6時間前に姿を見せた羽生。黒いTシャツに黒のパンツというラフなスタイル。まだ寝起きなのか、髪もピンと立っている。それでも瞳の奥には、五輪後初となる公演への強い決意がうかがえる。そこには、理由があった。6時間後に行われたアイスショーで、ある“サプライズ”が待っていたのだ。
日本スケート連盟が先月行った発表によると、羽生はリハビリの真っただ中。右足関節外側靱帯と腓骨筋腱損傷と診断され、約2週間の安静と3カ月のリハビリ加療が必要とされていた。そのためアイスショーはトークでの参加が想定されていたが、終盤になんと羽生はスケート靴をはいてリンクへ登場。平昌五輪以来47日ぶりとなる滑りを見せたのだった。
ジャンプこそなかったものの、「ロシアより愛をこめて」など3つの演目を披露。思わぬ演出に、集まった9千人のファンからは割れんばかりの拍手と歓声が送られていたーー。
そんな日本中を動かす“羽生フィーバー”、その勢いは世界にまで波及しているのかもしれない。実は今年6月、国際スケート連盟が“ルール改正”を発表するといわれている。その改正内容が“異例のラブコール”とも取れるほど、羽生有利になりそうなのだ。
フィギュア関係者は「今回のルール改正の流れを見ると、“ジャンプ偏重から芸術性の再評価へ”という国際スケート連盟の委員たちの思いが透けて見えます」と語る。
「今回の改正ではジャンプの点数が下がるとみられています。つまりリスクを背負って4回転ジャンプに挑むうまみがなくなるのです。いっぽう出来ばえ点は7段階評価から11段階に細分化されるとみられています。つまりジャンプ以外の細かな演技の精度を高めることが求められるようになるといえるでしょう。そうなると、抜群の演技力を持つ羽生選手がますます盤石に。彼が五輪3連覇をかけて出場するとなれば、フィギュア界がさらに盛り上がるはず。改正にはそんな意図もあるのではないでしょうか」(フィギュア関係者)
世界に広がる羽生フィーバー。絶対王者はまだまだ世間を騒がせてくれそうだ。