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日本人初の全米制覇という偉業を達成した大坂なおみ選手(21)。優勝後、海外のインタビューで《靴は右から履く》《朝食は必ずサーモンベーグルを食べる》など独自のルーティンがあることを明かしていた。

 

なぜ、大坂は独自のルーティンを重視するのか。その重要性について、スポーツ心理学の専門家である布施努氏はこう語る。

 

「アスリートは天候や観客など自分ではどうにもできないことに意識が向いてしまうと、自分本来のプレーができなくなってしまいます。そこで、今やるべきことに意識を集中させるため必要なのがルーティンです。日常的にやり続けることで、どんなシチュエーションでもリラックスした気持ちでプレーできるようになります。大坂さんの『ポイントごとに2回ジャンプ』のようなプレー中のルーティンは、悪い状況をいったんリセットさせる効果があります。朝食に同じものを食べるのもいいですね。同じものを食べていると、体調に変化があったときにすぐわかります。あのイチロー選手(45)が毎朝カレーを食べていたのも、同じことです」

 

そうしたルーティンの効果は、全米オープンで発揮されていた。 大坂が戦った全米オープンの決勝は、圧倒的アウェー。相手のセリーナ選手は審判に激怒するなど、感情をおさえきれなくなる場面が多々あった。そんななか、彼女は平常心をキープして冷静に試合を続行。彼女の心持ちが変わったことを確信させる試合だった。

 

「『靴は右から』のように一部験担ぎ的なものもありますが、大坂さんには様々なルーティンがあるようです。これまで感情のコントロールがうまくいかなかったことで、なかなか本来の力を発揮できなかったのでしょう。そんななかでサーシャコーチとルーティンを作り上げた結果、不必要なことを考えなくなったのだと思います。やるべきことがはっきりしたことで、集中できるようになったのです」

 

そう語る布施氏。さらにアスリートに限らず、一般人でも取り入れるべきだという。

 

「ルーティンを設けることは、日常生活でも有効です。たとえば面接前に鏡で自分の顔を見ること、これもルーティン。鏡で表情を見ることで、自分の状態を把握し、次にやるべきことが見えてくるのです。その際に大切なのが、なぜ効果があるのかを理解しておくこと。ある行動を行った結果、1つの効果が出た。だからその効果がほしいときに、同じ行動をする。ただ漫然と行動すればいいのではなく、こうした“なぜやるのか”を明確にすることで効果は表れてくるはず。自分だけのルーティンを見つけて、みがきあげていくことが成功につながるのです」

 

「GQ」のインタビューで、大坂はこう語っている。

 

《失敗を引きずらないようになりました。(中略)2018年の全米で優勝する準備はできていたと思う》

 

女王のルールを武器に、大坂はさらなる飛躍を目指す――。

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