■3日前まで悩んだ“跳ぶか、跳ばないか”
《自分としては4回転半をこの試合に入れたかったっていうのが本当の気持ちで、かなりギリギリまで粘って練習していたんですけど、最終的に入れることはできなかったので、ちょっと残念だったなと》
この“ギリギリ”とは――。
「4回転半を跳ばない決断をしたのは“(日本)出発の3日前くらい”だそうです。ある意味では、それだけ“成功に近づいている”という実感があったということでしょう。また、そこまでギリギリまで迷ったということは、“優勝を逃してもいいから、失敗覚悟で試合で挑戦してみようか”という考えもあったのだと思います」(前出・フィギュア関係者)
それでも跳ばない判断をした理由は2つ考えられるという。
「ひとつは、今回の世界選手権に来年開催予定の北京五輪の国別出場枠数がかかっているということ。羽生選手の成績次第で、日本人男子選手の枠が2枠になるか、3枠になるかが決まる。それだけに自分のわがままは通せないと思ったのでしょう。
そして、もうひとつ。コロナ禍で落ち込む世界の人々を新プログラムで勇気づけたい、そのためにはノーミスでいい演技ができるほうがいいとも考えたようです。後輩のため、テレビやインターネットを通じて観戦する世界の人々のため。自分よりも他人を優先した、ある意味で“大人の判断”をした、ということだと思います」(前出・フィギュア関係者)
ただ、“苦悩の90日間”は決して無駄ではなかった。
「4回転半の練習を続けたことで筋力もアップし、4回転半以外のほかのジャンプも以前より楽に跳べるようになったそうです」(前出・スポーツ紙記者)
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