「羽生君の欠場を残念に思っていましたが、NHK杯のパンフレットを見たら彼のインタビューが載っていたので、うれしくて。しかも、今季のショートプログラム(SP)について本人が初めて明かしているんです!」(羽生のファン)
練習中の転倒で右足関節靱帯損傷の診断を受け、今季初戦に予定していたNHK杯を欠場した羽生結弦(26)。2月に北京五輪を控える今季。羽生はプログラムについて、フリーこそ昨季からの『天と地と』を継続すると明言していたが、SPについては、昨季から変更するという程度しか明かしていなかった。
冒頭のようにファンを喜ばせたパンフレットは、NHK杯に出場予定だった日本選手がインタビューに答えており、羽生も欠場を決めるより前に取材を受けたようだ。
《ショートはまだできていないのですが、『序奏とロンドカプリチオーソ』です》
ベールに包まれていた新SP曲を、“情報解禁”していたのだ。
同曲は熱心なフィギュアファンには知られた王道のクラシック音楽で、いろいろな選手がプログラムに使用してきた曲だという。
「昔、羽生君が好きな曲だと語っていたこともありますよ」
そうファンに教えられて、’12年に出版された自叙伝『蒼い炎』をひもとくと、確かに、当時17歳だった羽生が複数挙げた好きな曲のなかのひとつにこの曲が。そして文章はこう続く。
《でもはたして、『好きな曲』が僕のキャラに合っているかどうか。僕にはまったく合わないかもしれない。または、今は合っていないけれど、いつかは合うのかもしれない》
この言葉から10年近く。“やりたかったあの曲に《合う》自分になった”と判断したのだろう。
フィギュアスケート評論家の佐野稔さんはこう見る。
「3連覇がかかる五輪に出るとなれば、滑りたいと思っていた曲で滑るのがいちばんいい。ずっとやりたかったことを“ここ一番”に持ってきたのではないでしょうか。
フリーの『天と地と』は日本的な曲で全く系統が違いますから、新鮮に見えるという点でもいいと思います。平昌五輪でも、クラシック音楽を使ったSPと日本的な曲を使ったフリーの組み合わせで成功していますからね」