(写真・神奈川新聞社)
山北町の山中で27日、ツキノワグマ1頭が捕獲されていたことが分かった。イノシシ捕獲用のおりに入っているところを発見され、鳥獣保護法に基づいて、丹沢の奥山に放されたという。
県県西地域県政総合センター環境部によると、捕獲されたのはオスのツキノワグマで体長67・5センチ、体重43キロ。3歳ぐらいの成獣とみられる。
同日午後3時半ごろ、同町谷ケの山中で、おりを見回っていた県猟友会足柄上支部のメンバーが発見し、環境部に連絡した。クマは翌28日午後4時すぎに放されたという。
同町では24日朝、ハイキング中の横須賀市内に住む50代の男性が親子連れのクマに襲われて軽傷を負った。同部は「子どもを連れているのは通常はメスで、今回捕獲されたクマとは別のクマと考えられる」と説明している。
■人的被害防止で連携 伊勢原初の会議
丹沢周辺で目撃が相次いでいるクマについて、地元の警察や自治体、消防、猟友会などの担当者が一堂に会した連絡会議が29日、伊勢原署で開かれた。約50人が出席し、クマによる人的被害の防止方法などを確認し、連携を深めた。
クマの対策会議は、秋田で4人が死亡する事故が起きたほか、丹沢でも目撃情報が20日現在で26件(昨年同期比18件増)と増加しており、初めて企画された。24日には山北町で男性が襲われ、軽傷を負っている。
県の担当者は丹沢にはツキノワグマ30~40頭が生息していると紹介し、「今年はドングリなど木の実が凶作で、クマが人里に下りて農作物を狙う可能性が高い。クマが好む果樹を早く収穫してもらったりして、人里に出ないようにしている」と述べた。
県警本部の八木秀夫地域指導課長は「人間に危険が迫っている場合、警察官職務執行法に基づき警察官が猟友会にクマの射殺を命じることができる」などと話す一方で、「警察官よりも猟友会の方々の方が経験と知識がある。現場では『このままでは危ない』などと警察官にアドバイスしてほしい」と協力を求めた。