(写真・神奈川新聞社)
【カナロコスポーツ=佐藤 将人】サッカーJ2横浜FCの元日本代表で現役最年長のFW三浦知良選手が26日、Jリーグ史上初めて50歳で試合に出場した。この日が誕生日だった三浦選手は、ニッパツ三ツ沢球技場(横浜市神奈川区)で行われた松本との開幕戦に先発出場し、自らが持つリーグの最年長出場記録を50歳0日に塗り替えた。
三浦選手は満員札止めのスタジアムで後半20分までプレー。ゴールこそならなかったが、後半には右足でシュートを放つなど大観衆を沸かせ、チームの1-0の勝利に貢献した。
■純粋さとプロ精神と カズ、最年長出場記録更新
生きる伝説が、また日本サッカー史に一ページを加えた。元日本代表で現役最年長のJ2横浜FC・三浦知良選手が50歳の誕生日を迎えた26日、ニッパツ三ツ沢球技場での松本との開幕戦に先発し、自らが持つ最年長出場記録を塗り替えた。ゴールこそならなかったが、「(ピッチに入った時は)泣きそうになった。チームメートが勝利をプレゼントしてくれた」と感慨に浸った。
弧を描いた球は力なく、キーパーの手に収まった。後半12分。自身、唯一のシュートとなった。
「今のサッカーはFWだから攻撃だけでは通用しない。その中で(機を見て)シュートと考えているが、そういう形にはならなかった」。献身的に走った。前線でパスコースを消し、必要とあれば自陣まで戻る。攻撃時にはパスを引き出そうと、相手DFとの駆け引きを繰り返した。いわゆる「ベテラン像」とは正反対の、50歳がいた。
「18歳でプロになって、まさか50歳までプレーするなんて思っていなかった。30歳、40歳になった時もそう。昔と違って、個の力で打開するのは難しい。それでも駆け引きや経験など、補えるものもある」
現役続行の決め手は「試合に出られるか」ではないという。「年間を通じ、日々の厳しい練習をできるか。肉体的にも精神的にも厳しい覚悟がいる」。横浜FCの顔となって13年目。オフの間も、誰一人いない練習場で汗を流す三浦選手がいる。「彼のプロ意識を、チームとして利用させてもらっている」。中田仁司監督は戦力としてはもちろん、有形無形の波及効果を実感している。
開幕前のキャンプで左足親指を裂傷。回復が心配されたが、抜糸をせぬまま記念の舞台に間に合わせた。
超満員の三ツ沢には、ドイツやフランスのメディアの姿もあった。だが、カズは注目に感謝しつつも、こう語る。「集中したい時にも僕のことでざわつかせてしまう。でもチームメートは文句を言わない。本当に助けてもらっている」
試合後には鮮やかなピンク色のスーツに着替え、胸元には真っ赤なバラを挿して現れた。30代になればベテランと言われるサッカー界で、30年以上走り続ける秘けつを問われると、「サッカーが好きだということに尽きる」と即答した。
「サッカー小僧」としての純粋さ、「キングカズ」としてのプロ精神。節目の一日に、余すところなく自らの魅力を伝えてくれた。