県への管理移行を予定している美ら海水族館
首里城正殿などの移管に関する国と沖縄県の協議で、本部町の国営海洋博公園内にある沖縄美ら海水族館の管理運営についても、2018年度中に県に移管することを検討していることが30日、分かった。施設は国が所有した上で、都市公園法第5条に基づく設置管理許可を県に認める枠組みを検討している。沖縄総合事務局によると、首里城と美ら海水族館を一括して管理運営できるよう県からの要望が17年末までにあり、移管の在り方などについて交渉を進めているという。
一方で風評被害など不測の事態で入場料収入が減少した場合の県民の財政負担を回避したい県側の意向などもあり、移管の条件を巡って国と県の協議の行方はなお流動的な要素がある。
沖縄総合事務局の担当者は「首里城は県への管理の移管で調整してきたが、水族館についても要望があったので調整している」と述べた。県土木建築部は「首里城正殿などの移管については国と引き続き調整しているところだが、まだ具体的に確定したことはない」と明言を避けた。
沖縄美ら海水族館や首里城公園内の有料区域については、これまで国がUR都市機構(東京、旧都市基盤整備公団)に設置管理を許可してきた。実際の管理業務は、UR都市機構と営業契約を結ぶ沖縄美ら島財団(本部町)が担っている。
UR都市機構は18年度中に全国全ての国営公園事業から撤退することが政府方針で決まっており、美ら海水族館や首里城正殿などの19年度からの管理運営の体制は未定となっている。
首里城については、民主党政権下の12年に、当時の野田佳彦首相が「18年度をめどに県に移譲する」と表明した経緯がある。
台風被害や経年劣化で大規模改修が必要になる事態に備え、所有権は国が維持し、県の費用負担を支えることなどで調整を進めてきた。
2002年11月開業の沖縄美ら海水族館は、沖縄の日本復帰30周年の記念事業として海洋博公園に整備された。ジンベエザメやマンタを複数飼育する世界最大級の水槽など沖縄観光を代表する人気施設として、16年度は入館者数362万8332人を記録した。(与那嶺松一郎)