ひと口めは、ごく普通のしょうゆ味。だけど食べるにつれ、次々やってくる後味。鼻の奥の方でクーンと。口全体にジュワーっと。煮干、昆布、ガラ、香味野菜…のはず。ほのかなうま味が煎じたように混ざって、湯気まで味がするような…

 創業昭和28年、55年の歴史。八王子駅北口の老舗「竹の家」のラーメン(550円)は、お店の歴史さながら年を重ねたような、年季の入った味がする。

 厨房のまん中でグツグツ煮立った500リットルの巨大な釜。普通、ラーメンのスープは金属製の寸胴で仕込むものだが、「竹の家」のスープは鋳物の釜仕込み。注ぎ足しに注ぎ足しを重ね、アクもあえて取らない。

 麺のゆでかたも、かなり独特だ。お店の看板に書かれた「オートボイル式」の文字。店内に入るとすぐ、厨房の一番手前で円筒形の麺ゆでマシンが、ゆっくりと回り続けている。いったい、いつの時代の最先端???

 このオートボイル式でゆでられた麺がまた独特。チリチリに縮れているのに、とてもすすりやすい。スープのうま味を湯気ごと運んでくれる。

 とにかく独特づくめのラーメン屋。これだけのこだわりを持っている店主、さぞかしガンコと思いきや…気さくで話好きな方なのでした。

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