ドラマ『カルテット』(TBS系)が、3月21日の放送でついに最終回を迎える。主役の高橋一生(36)は、理屈っぽいビオラ奏者。どこか切ない役どころを見事に演じきり、女性の間で大ブレークしている。その人気ぶりは“ポスト星野源(35)”と呼ばれるほどだ。
これまでの地道な努力が実って人気俳優の座を射止めた高橋。しかしその人気が生まれた背景には、過酷な試練を乗り越えてきたつらい過去があった。
子役として8歳でデビューしてから19年。なかなか芽が出なかった高橋。だが07年、大河ドラマ『風林火山』と『医龍2』出演がきっかけで注目の若手俳優の1人に。翌08年には連続ドラマ2本、映画1本、舞台3本と引っ張りだこだったのだが――。
「病魔が高橋さんを襲ったのは、そのころ。彼にはずっと鼻の右側にデキモノがありました。彼はそれが気になって08年秋に病院に行ったそうです。そしたら『すぐに手術して腫瘍を摘出する必要があります』と深刻な診断が。鼻の内側ではなく表面からメスを入れる手術だったため、傷痕が残ってしまう可能性も指摘されたそうです」(演劇関係者)
“役者生命”に関わる手術だけに、相当な葛藤があったことだろう。しかし予断を許さない状態だったため、高橋は苦渋の決断を強いられたという。
「09年に摘出手術をうけたそうです。手術は無事成功したそうですから安心したとか。でも、鼻に大きい手術痕が残ってしまって……」(前出・演劇関係者)
役者としての成功が目前に近づいていた高橋は人生の岐路に立たされていた。
「手術直後は、今よりも傷痕が目立っていたそうです。病気が完治するのかという不安を抱えての半年間の闘病生活。まだこれからの俳優としては、絶望してもおかしくない状況だったと思います」(前出・演劇関係者)
よほど大変な手術だったのだろう。術後8年経った今でも高橋の鼻には傷痕が残っている。
「写真だと修整しているからか分からないのですが、テレビなどの映像は修正ができないので傷痕が分かります。事務所は写真掲載に気をつかいリタッチすることも。話題になった『an・an』のグラビアは手術痕が隠れるような角度の写真ばかりでした」(芸能関係者)
再発の不安と鼻の手術痕。だが手術から半年後、仕事を徐々に取り戻していった。手術をした09年には10月に『ガス人間第一号』という舞台の仕事が1本しか入っていなかったが、10年3月にはドラマ『SOIL』で復帰できるほど鼻の傷痕も目立たなくなっていった。
「手術後はじめての仕事は舞台でした。テレビや映画になるとどうしても顔がアップになり傷痕が見えてしまいますが、舞台なら観客が遠いから平気だという理由です。早すぎる復帰に『まだゆっくり休んだほうがいいんじゃないか』と、みんな彼の体調を心配していました。でも、彼の回復力は凄まじいものでした。一見ナイーブに見えますが、精神的にも強い人なんだと感心しましたね」(前出・演劇関係者)
復帰後はどんどん仕事が増え、そしていまや、大河ドラマ『直虎』の準主役を張るまでに。 病を乗り越えた高橋に芽生えたのは“不屈の役者魂”だった。