昨年12月、イギリスのユニバーシティ・カレッジ・ロンドンが発表した研究によれば、自分は実年齢より若いと感じる人は、死亡リスクが極端に低くなることが明らかになった。研究は、’04年から’05年にかけておこなわれた大規模加齢研究のなかの約6,500例のデータをもとに実施された。順天堂大学医学部の小林弘幸教授は言う。

 

「実年齢と比べて自分は『3歳以上若いと思っている』『年相応』『1歳以上老けていると思う』の3グループに分け、’13年までの死亡率を収集しました。その結果、自分は若いと感じる群は、そのほかに比べて死亡リスクが低いと判明。とくに『老けている』と感じる群に比べると、死亡リスクは40%も下がることが明らかになったのです。具体的なメカニズムについては明らかになっていませんが、がんによる死亡では有意な差が見られなかったのに対し、心血管死では自己認識年齢が強く関係していたという結果も」

 

やはりプラス思考、マイナス思考といった気の持ちようが血流に影響しているようだ。それを裏付けるように、今年1月に米イリノイ大学が「楽観的な人のほうが長生きできる」という研究結果を発表。45〜84歳の男女5,100人の11年分のデータを解析し、メンタルの傾向と、血圧や血糖値、コレステロールなどの健康スコアを調べた。

 

「その結果、楽観的な人ほど数値が正常であるという結果に。もっとも楽観的なグループは、もっとも悲観的なグループに比べて、健康スコアが『正常』である割合が、2倍も高かったのです。これらの数値が正常であるということは、血管が丈夫であるということ。先の『気持ちが若い人ほど心血管死のリスクが下がる』という結果と、見事にリンクするのです」

 

マイナス思考というのは、常に不安にさいなまれている状態。ストレスは血管をドロドロにするというのは、もはや知られた話だ。

 

「また、『命の回数券』といわれ、寿命の長さを示すテロメアも、ストレスによって短くなることがさまざまな研究によって示唆されています。ストレスから生じた活性酸素が、テロメアにダメージを与えているなどの可能性が考えられているのです。『私なんて、どうせもう年だし』と思わずに『まだまだ若い!』と思うことが、老化を防ぐ第1歩となるのです」

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