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「人にはインフルエンザウイルスを排除しようとする“免疫力”があります。ところが秋に天候不順が続いたことで、多くの人の“免疫力”が今、下がっている状態なのです。このままインフルエンザの季節を迎えたら、大流行さえ危惧されます」

 

こう語るのは、免疫学を研究する順天堂大学大学院医学研究科の竹田和由准教授。「秋なんてあったかしら?」と思うくらい、唐突に肌寒くなったこのごろ−−こんな年こそインフルエンザには要注意なんだそう。身を守るためには、ワクチンの予防接種が効果的だが、ワクチンを接種しても100%感染を防げるわけではない。

 

そこで、インフルエンザ予防の最新知識を竹田教授と、すぎおかクリニック(船橋市)の市川壮一郎副院長が教えてくれた。

 

■うがいは効果なし

 

「ウイルスはのどや鼻の粘膜に付着し、増殖することにより感染します。これを洗い流すという意味では、うがいは効果的とも思えますが、多くの人は鼻で呼吸しているため、通常のうがいだけでは鼻から侵入したウイルスを洗い流すことは困難なのです。鼻の粘膜に付着したウイルスを洗い流すためには、医師の指導を受けたうえで、生理食塩水(0.9%の食塩水)で“鼻うがい”をするのが効果的です」(市川医師)

 

■マスクは正しく着けよう

 

「ウイルス自体は一般に売られている不織布マスクを簡単に通り抜けてしまうのですが、マスクの繊維の隙間以上の大きさであるウイルスを含んだ飛沫であれば、シャットアウトすることができます。だからマスクには一定の効果があるといえるのですが、マスクと顔の間に隙間があったりすると、飛沫はそこから入ってしまい、意味がありません。しっかりフィットするものを正しく着けてこそ、マスクは効果を発揮するのです」(市川医師)

 

■予防接種3週間前から機能性ヨーグルトを

 

「“免疫力を高める”効果がある機能性ヨーグルトを取ることで、“免疫力”で重要な役割を果たす『NK細胞』(ナチュラルキラー細胞)が活性化します。最新の研究で有効だと判明したのは、予防接種の少なくとも3週間前から機能性ヨーグルトを毎日取ること。これで予防接種を受けるときに、免疫力を最高の状態に持っていくことができ、感染予防効果が格段にアップすることがわかってきました」(竹田准教授)

 

■ビタミンCとにんにくは積極的に取ろう

 

「ビタミンCにはウイルスの侵入に対して働く免疫機能を活性化する効果があります。また、にんにくに含まれるアリシンには抗菌・抗ウイルス作用があるので、にんにくを使った料理は効果的といえるでしょう。さらに、緑茶や紅茶に含まれるカテキンは“天然のワクチン”ともいわれ、ウイルスが体内で増殖するのを防ぐ効果があります」(市川医師)

 

■アロマオイルに抗ウイルス効果あり

 

「抗ウイルス作用のあるユーカリやラベンダーなどの精油(エッセンシャル・オイル。一般にアロマオイルと呼ばれるもの)をお風呂に垂らすだけでも効果があります。また、アロマポットを使って香りを吸い込むことや、マッサージオイルにして体にすり込むことも有効です」(市川医師)

 

■大笑い、大泣きで免疫力UP

 

「大笑いすることはNK細胞を活性化させる手っ取り早い方法です。とはいえ作り笑いでは活性化しません。おなかを抱えるほど大笑いして、感情をしっかり動かすことが重要。同じ意味で、映画やドラマを見て、大泣きすることもNK細胞の活性化を促します」(竹田准教授)

 

■究極の予防法は人に2メートル以上近づかないこと!?

 

「家にひきこもり、人との接触を避ければ、感染しません。また、ウイルスを含んだ飛沫が届くのは2メートル程度。人に会うときも2メートル以内に近づかなければ感染リスクが下がります。とはいえ、現実的ではないですよね」(竹田准教授)

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