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「化粧水はたっぷりつけたほうがいい」。私たちが信じてきたこれらの常識は、実は間違いだったーー。そんな衝撃的な“理論”が話題を呼んでいる。提唱するのは、美容化学者のかずのすけさん。化学者の視点から化粧品を解析するブログ「かずのすけの化粧品評論と美容化学についてのぼやき」が人気で、7月末には、正しいスキンケアを解説した新刊『オトナ女子のための美肌図鑑』(ワニブックス)を出版したばかり。

 

「みなさんが当たり前だと思っている美容知識のほとんどに、科学的根拠はありません。よかれと思ってやっているケアが、逆に肌を傷つけていることもあります」

 

そう語るかずのすけさんに、美容法の真実を教えてもらった。

 

■「酵素洗顔」が肌バリアを破壊する

 

毛穴の汚れを落としてくれる酵素入り洗顔料だが、肌を傷めるリスクが非常に高いという。

 

「酵素洗顔で汚れがよく落ちるのは、酵素が皮膚の汚れであるタンパク質を分解するから。ですが、汚れだけでなく皮膚自体もタンパク質。汚れとともに肌表面でバリアとして機能する角質層が分解され、かえって肌トラブルの原因となります。週1回ならOKですが、酵素そのものもタンパク質で、成分によっては、アレルギーを発症する場合があるので、メリットよりもリスクが大きい美容法です」

 

■「化粧水たっぷり」は肌と財布を苦しめる

 

「いくらたっぷり化粧水を塗っても、浸透するのは肌表面の0.02ミリの角質層まで。余った成分は蒸発するだけです。しかも、角質細胞の主成分『ケラチン』は水分を含みすぎると弱まってしまいます。すると、ちょっとした摩擦や刺激がきっかけで肌が炎症を起こしやすくなります。とくに40〜50代以降の人は加齢によりもともと肌バリアが弱まっているので、化粧水の塗りすぎで、よりトラブルを招きやすい状態に」

 

化粧水の後に塗る乳液などの“フタ”も必須ではない。自らが分泌する皮脂が“フタ”として機能するからだ。

 

「洗顔後のケアは、肌の水分保持に効果のある成分『セラミド』入り保湿剤1種類でOK。あとは、乾燥する時期に多少クリームを塗る程度でじゅうぶんです」

 

■お風呂上りのボディに保湿剤はいらない

 

お風呂上りの保湿剤は、ボディソープを替えれば不要に。

 

「せっけんや市販のボディソープは洗浄力が強く、肌に必要な皮脂や保湿成分まで洗い流してしまいます。そのため、乾燥して保湿剤が必要な肌になるのです。保湿剤を卒業するためには、『カルボン酸系』、もしくは『アミノ酸系』のボディソープに替えましょう」

 

■殺菌剤がニキビ肌を泥沼化する

 

「殺菌剤は、ニキビの原因とされるアクネ菌だけでなく、そのほかの皮膚の常在菌も殺してしまいます。とくに殺菌剤入りの洗顔料や化粧水など肌全体につけるものを使い続けると、顔中の常在菌が減り、健全な肌を保つためのシステムが狂ってしまう。すると小さな刺激でも肌荒れを起こしますし、だからといって急に殺菌剤をやめると雑菌が繁殖して、一気に肌が荒れます」

 

大人のニキビは、食習慣や睡眠不足、ストレスによる生活の乱れが原因であることが多い。殺菌剤に頼らず、生活習慣を見直すのが最善の対策だ。

 

■美白化粧品では肌は白くならない

 

「美白化粧品は日焼けやシミを予防できても、黒くなった肌を白くする効果はほとんどありません。塗ってすぐに白くなったと感じる場合は、化粧品に配合された酸化チタンなどの白い粉末や、肌の収斂作用による一時的な効果であることが多いんです。しばらくして白くなったと感じたとしても、それも肌細胞が一定周期で生まれ変わるターンオーバーによるところが大きいと思います」

 

肌の色が黒くなるのは、紫外線の刺激により、肌の基底にあるメラノサイトで生成される「メラニン」という物質が原因。メラニンを持った細胞は肌表面の角質層まで上昇し、蓄積されるとシミになる。

 

「そもそも、ターンオーバーで自然に肌が生まれ変わるので、美白化粧品は必ずしも必要ありません。それでも美白を心がけたいなら、肌刺激を避けるほうが重要。スキンケアは低刺激が基本。ケアを増すより、やめることが大事な場合が多いんです」

 

これまでの常識にとらわれず、正しい知識でのスキンケアを心がけよう。

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