目的がはっきりしていて、住人たちがそれに向かって助け合っているのが最近のシェアハウス。現在、シェアハウスは都心だけに留まらず地方にも広がりを見せている。そんななか、老後に不安抱える高齢者が集まるシェアハウスも登場!
要介護認定は受けていない。でも、日常生活に不安があるーーそんな人たちの支援の場となっているのが、大阪市平野区にある「シェアハウス中井」だ。
「介護老人保健施設や有料老人ホームに入るほどではないけれど、一人暮らしは不安という方向けに運営しています。入居者の多くは、老後の生活に不安を抱えるシニア層か、認知症などの病気や障がいなどのハンディキャップのある方。急病時も提携の医療機関が対応するなど、関係各所と連携し、入居者の方が安心して暮らせるようにしています」(有限会社ナカサダ取締役・中井康之さん)
10階建てで、125室中100室に昇降式ベッドが完備。食堂や談話室、カラオケルームなどの共有スペースがあり、男女別の大浴場は一日中入浴可能。食事は業者が作り、食べた分だけ月末に支払いをする(朝300円、昼・夜600円)。トイレも共同で、清掃スタッフが清掃するなど、家事労働の負担がないのが特徴。現在、20代から80代まで、80人ほどが生活しているという。
「介護施設とは異なり、あくまで一般の住宅契約なので、外出の制限などはありません。食事も外で食べていただいてかまいませんが、自力通院が困難だったり、金銭管理ができなかったり、薬を飲み忘れてしまう入居者さまも少なくない。そこで、24時間管理人が常駐し、病院への送迎のほか、希望者には同意のうえ、金銭管理や服薬サポートを行っています。認知症の方には、定期的に居場所を通知する見守りブザーをお持ちいただき、徘徊の対策もしています」(事務長・福島辰也さん)
近くにある系列の介護事業所からヘルパーも派遣。食事や入浴の介助も行っている。自力でトイレに行けることが入居条件のひとつだが、入居後、要介護5に進行した人の生活もサポートしていたという。しかも、生活基盤に関わるサポートはボランティアで行っており、家賃以外は不要というから驚きだ。
「介護保険等では対応できないことは、ボランティアで対応しています。家賃の4万2千円というのも、生活保護の住宅扶助上限額(※大阪府、単身世帯の場合)と同額にしています」(同前)
老後や健康に不安を抱える人たちをサポートする、支援型シェアハウス。今後は入居者同士の交流をさらに深めていくことが、目標だという。