9月2日、埼玉県越谷市で発生した竜巻は、隣接する同県松伏町さらには県境を越え千葉県野田市にまで、1千100棟もの建物に被害をおよぼした。そのわずか2日後。4日、栃木県矢板市などでも竜巻が発生。少なくとも180棟の建物被害が確認されている。
気象庁によると、今回の竜巻の速度は時速60キロ。西側に山地がある関東平野は、湿った空気が上昇気流となると、西風とぶつかって渦を巻きやすい。竜巻は突如発生するのだ。
自宅を竜巻に直撃された矢板市の主婦は、植木が根こそぎ倒れ、ブルーシートがかけられた家の前でこう話してくれた。「私の家は竜巻被害もカバーした保険に入っていた。不幸中の幸いでした」。
突然猛威を振るう竜巻も、保険でリスクは軽減できる。今回も現地入りした危機管理ジャーナリストの渡辺実氏が、保険金受給のポイントを解説してくれた。
「竜巻は風災なので火災保険で補償対象になります。でも、飛んできた物が衝突した場合、火災保険では補償されない。戸建てなら住宅総合保険、共同住宅なら団地保険への加入をお勧めします。実際に竜巻の被害に遭った場合、被害状況を写真に撮ること。保険金査定の際、あと片づけが終わっていて、被害の証明ができないことが多いのです」
さらに、国からも自宅が全壊した世帯に最大300万円が支給される制度がある。しかし「全壊家屋が市町村ごとに10棟以上ある」ことが条件。今回の竜巻で支給対象となったのは11世帯が全壊した越谷市だけだ。それに満たない市町村は「柔軟な対応を内閣府の政務官に申し入れています」(野田市)、「なんとか認定を受けられればありがたいんですが」(矢板市)と頭を抱える。
自分の財産は自分で守る。この鉄則を忘れてはならない。
(FLASH 9月24日号)
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