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先月19日、米カンザス州オーバーランドパーク市のコミュニティセンターで、5歳の男の子が飾ってあった彫刻を倒してしまった。それから約1カ月。旅行から帰宅した男児の親を待っていたのは、市から送られた子どもの監督を怠ったことを咎める手紙と、13万2千ドル(約1400万円)もの請求書だった。

 

「これは明かに事故です」——サラ・グッドマンは地元紙「The Kansas Sity Star」の取材に応え、こう主張する。

 

この日、グッドマン一家はセンターで行われていた結婚式に参列していた。

 

「うちの子どもたちは躾が行き届いているし、行儀も良いんです。きっと、その彫刻に抱きついたんだと思います。幼稚園を卒園したばかりの甘えん坊ですから」

 

「カンザスシティのアフロディテ」と名付けられたその彫刻は、ガラスと鏡の小さなピースで女性の上半身が表現されている。防犯カメラの映像を見ると、何人かの子どもが彫刻のあるホールを出入りしており、彫刻の前を通るたびに触ったり台座に上ったりしている様子が見て取れる。そして一人が抱きついた拍子に彫刻が手前に倒れ、男児もろとも床に崩れ落ちてしまっている。

 

市がグッドマン家に宛てた手紙には「この損害は、あなたのご子息がガラスの彫刻が置かれた立ち入り禁止エリアに入ったときに発生しました。カンザス州の判例法では、あなたに未成年の子どもを管理する責任があり、損害発生時に子どもを監督していなかったことは怠慢であると言わざるを得ません」と、親の監督不行き届きを指摘。彫刻の損害額を13万2千ドルとした見積書が同封され、保険情報を提供するよう求められたという。

 

この彫刻は地元で活動するアーティスト、ビル・リオンズの作品で、市に貸与していたものだった。リオンズは破損した彫刻を調べ、自ら損害額を算出したという。彼が2年もかけて完成させたこだわりの頭部の後ろ部分が粉砕されており、元通りにはできないという。彼自身はこの作品に保険をかけていなかった。

 

グッドマンは、高価なものなのに、あまりにも無防備に置かれていたと市側の過失を主張。「彫刻より小さな美術品はケースに入れられていたのに、これは違いました。安全を確保していたとは言えないと思います」。また彼女は、息子が不安定な彫刻の下敷きになりケガをしたにも関わらず、市からは息子の安否を気遣う言葉が一切なかったことにも不満を漏らす。

 

ソーシャルメディアでは、子どもから目を離した親の責任を問う声と、それほど高価な作品であるにも関わらず保険をかけていなかった作者への疑問などで紛糾している。

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