永代供養者の氏名が刻まれた石碑。存命者は赤字で、亡くなると白字になる=沖縄県中城村当間の中城メモリアルパーク 画像を見る

 

お墓の引っ越し、いわゆる「改葬」が沖縄県内で急増していることが、12日までに琉球新報のまとめで分かった。厚生労働省の資料によると、1997年度は296件だったが、直近の2017年度は約8・8倍の2604件に上った。同期間、全国は約1・5倍の伸びにとどまっており、沖縄の急増ぶりが際立っている。識者は「戦後、離島や沖縄本島北部から中南部に移住した世帯が2、3世になり、墓問題に直面しているのではないか」と指摘している。

 

厚労省の「衛生行政報告例」から、記録の残る1997年度以降を抽出した。ここでの「改葬」は、遺骨や墓の移転と、継承を終了する「墓じまい」の両方を含んでいる。

 

沖縄を含む「全国」は約7万件だった97年度以降、増減を繰り返し、2017年度に初めて10万件を突破した。沖縄は墓の建立や移転に良いとされる「ユンジチ(うるう月)」に突出しているものの、14年度以降は1371~2604件と急増。このうち、那覇市が3~4割を占めている。

 

琉球大学の津波高志名誉教授(72)=文化人類学=は改葬増加の要因として「人口移動」と「葬墓制の変化」を挙げる。国勢調査によると、1950年以降、沖縄本島北部や離島で人口が減る一方、本島中南部は急増した。本島北部や離島から、職を求めて本島中南部に多くの人が移動したという。

 

津波名誉教授は今や移住者の子や孫が世帯の中心で、墓問題に直面しているとみる。「家を建てていると、いまさら古里には帰らない」とし、火葬で遺骨の移転が容易になったことと家族墓への移行も改葬増加に拍車を掛けた、と指摘する。90年代以降、公益法人などが管理主体となった霊園型墓地の整備も進んだ。「子や孫に負担を掛けたくない」との思いも相まって改葬が増加したとみられる。

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