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今月10日、教育の無償化に関する2つの法案が成立した。幼児教育の無償化が「改正子ども・子育て支援法」、大学などの無償化が「大学等修学支援法」だ。実際には、幼児教育が今年10月から、大学などは来年4月から無償化が始まる。「改正子ども・子育て支援法」について、経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれた――。

 

幼児教育無償化の対象は、全世帯の3~5歳児と住民税非課税世帯の0~2歳児、合わせて約300万人。認可保育園や認定こども園などの保育料が無償になります。認可外の保育施設でも、3~5歳児は月3万7,000円まで、0~2歳児は住民税非課税世帯に限り月4万2,000円まで補助されます。

 

保育料の無償化は、子育て世代にはありがたいことでしょう。ですが、「無償なら預けたい」という方が増えると、預けて働かないと暮らしていけない切迫した家庭にしわ寄せがいくかもしれません。

 

というのも保育園不足が解決していないからです。保育園を探す“保活”は激化し、預け先がないために働けないという方もいます。

 

私は女性が安心して働くために、保育園の整備が何より大切だと考えています。預けられない方がいるのに、預けられた方の保育料を無償化すると不公平を助長する、本末転倒といわざるをえません。

 

そもそも保育料は、子どもが幼いほど、世帯年収が上がるほど、高く設定されています。国の上限基準によると、3歳以上の保育料は生活保護世帯の0円、住民税非課税世帯の月6,000円から徐々に上がって、最高は月10万1,000円です。今回の無償化でもっとも大きな恩恵を受けるのは、高い保育料を払っている高所得の世帯なのです。

 

さらに、保育士の待遇が改善されず、保育士不足や保育の質の問題も棚上げされたまま。国は、幼児教育を本気で改善するつもりがあるのかと疑いたくなります。

経済ジャーナリスト

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