物陰からひょっこりと顔を出すパフォーマンスで大人気の、ひょっこりはん。軽快でシンプルな動きとおとぼけ顔が印象的で、ちびっ子から芸能界の大御所まで本当に多くの人がマネをしている芸人さんですね。パフォーマンスの誕生秘話や、沖縄との接点などなど・・・いろんな事を直撃してみました!
聞き手:饒波貴子(フリーライター)
「ひょっこりはん」ができるまで
ーテレビでおなじみ! 沖縄でも子どもたちを中心に大人気ですね。沖縄花月出演の時、ちびっこファンの大歓声にびっくりしました。
そうですね。お子さんファンが多くて、とてもうれしいです。5月に宮古島の「MIYAKO ISLAND ROCK FESTIVAL」前夜祭に参加した時も、2000人くらい!? めちゃくちゃいっぱいの人に来ていただきました。前の方には子どもたちがたくさん集まってくれましたよ。離島に行く機会はあまりないので、子どもたちに会えてよかったな~と思いました。来年もぜひ呼んでいただきたいです。でも手の内を全部明かしてしまいました(笑)。一年かけて新ネタを準備します!
―「ひょっこりはん」誕生のきっかけを教えてください。
名前から決めたんです。2016年の5月からやっていますので、3年経ちました。以前はコンビで活動していたので、1人になるとやることが全く変わる。キャラクター発信ではなく、本名は使わずに自分っぽい名前を付けたいな~というところから考えて・・・顔が特徴的だけど(笑)、そんな人いっぱいいるよなってなった時、物陰から顔が出てくる絵が浮かび、「ひょっこり」という言葉を思い付いたんです。響きがかわいらしいし、みんな知っているけどあまり使わない言葉。いい要素が詰まっていて、ちょっと間抜けな感じが僕にも合っているから、「ひょっこりはん」! この名前にするべきだと思って決めました。だからもう、それに芸を合わせて行ったんです。自分にぴったりの名前を付けたから、「ひょっこりはん」っぽいことをすれば、間違いない! 最初は別のネタをやっていましたが、分かりづらくて反応が良くなかったので、シンプルに「ひょっこりはん」で顔をひょっこり出す。そしたら良い方に進み、名前が全てだったと実感(笑)。キャラが面白いとかではなく、名前を元に芸を考えていった感じです。マッシュルームカットの髪型や衣装も徐々にカスタマイズして、いい名前を付けて本当に良かった~って思うんです。
―個性的でいいですね! アイドルから大御所俳優までがマネをして、大ブームでした。
仕草がマネしやすいという点はあるかも。テレビでギャグを披露するのは嫌だけど、「ひょっこりはんだったらいいか」とOKしてくださる俳優さんがいらっしゃったりとか、うわさで聞きました。俳優さんはギャグを披露する必要はないですもんね(笑)。ひょっこり顔を出すだけというハードルの低さ、そして今まで隠す芸はありましたが出てくる芸はあまりなく、いろんな要素がかみ合って上手くいったかなと思っています。みなさんに遊んでもらって助けられました。僕自身は、ひょっこり以外できない難しさを抱えていますけどね(笑)。
海外で「ひょっこり」したい
―舞台を見ていると、本当にいろんな物から「ひょっこり」してますね。常にアイデアはありますか?
本当に難しいんですよね。ただひょっこり出てきただけでは、笑いにはならない。どう笑いを取るかっていうのに苦労しています。だってみなさん、出てくるの知ってるし、ひょっこりするの分かってるし(笑)! 舞台が一番難しいかもしれないです。むき出しの状態で人前に立ち、「ひょっこりするよ~」って宣言する(笑)。いろいろ考えますよね~。大きな物が使えたら隠れてひょっこりできるけど、そんなの沖縄に持ってこれない(笑)! 舞台で使う物や小道具の調整も難しく、ちっちゃくて軽いのがベスト(笑)! 子どもたちに参加してもらえる物を、という点はいつも意識しています。
―子どもたちに向けた活動が多いですか!?
子ども向けのお笑いのつもりはありませんが、好きって言ってもらえるのは本当にうれしい。去年の夏から「ひょっこりはんをさがせ!」という絵本を出して、子どもたちを中心にすごく広がりました。2作で発行部数16万冊を記録して評価されましたので、やっぱり子どもたちの支持が熱いのかなと思います。東京では子ども向けのバスツアーもやりましたし、今後もそういう活動をしていきたいですね。お子さんたちが楽しんで笑ってくれると、親ごさんたちも笑って幸せな時間になります。「ステージに上がりたい!」って手を挙げてくれる子も多いです。本当は自分の姿が子どもたちにどんな風に映っているかは分かりませんし、「ひょっこりはん」って言わせて洗脳する時もありますが(笑)、お子さま向けの活動が中心になるイメージはあります。
「ひょっこりはん」を海外に広げられるのかな、という興味もあります。「いないいないばあ」みたいなあやし方は、文化として全世界にあると思うんです。顔をひょっこり出して笑ってもらえる可能性、海外にあるかもと考えています。
シーサー、ゴーヤー、沖縄民謡で一家だんらん!?
―沖縄に初めて来たのはいつですか?
2018年、去年の「島ぜんぶでおーきな祭 沖縄国際映画祭」が初めてでした。来る前からイメージしていた南国そのもので、外国みたい! 街並みも生えている植物も普段見ているものとは違っていて、面白かったです。植物がでけ~し育ってるな~っていう(笑)。商店街を歩いたらみんなが握手をしてくれたりフランクで、楽しく過ごしました。去年も今年も3回ずつくらい来ていますが、海にはあまり行けていないし、雨が降ってよく見えもしないし、実はきれいな海に出会えていません。ホテルの部屋に美しい海の絵が飾られていたので、それを眺めていました(笑)。
―沖縄の食べ物は楽しみましたか!?
ステーキ屋さんに行きましたし、ソーキそばやタコライスも食べました。定食屋さんにも行ったので、沖縄ごはんは結構食べました。一番好きなのは島ラッキョウ。家の近くの居酒屋で島ラッキョウが食べられる時があるので、その時は頼んで食べてます。去年の映画祭の最初の夜と最後の夜、一人ホテルの部屋でゴーヤー弁当食べて過ごした思い出があります。一人で行動する仕事で、誰が来ているのか分からなかったんです。おいしかったけど、せつなかった~(笑)。実は両親が大の沖縄好きで、定期的に沖縄に行っているんですよ。
―お土産は買ってもらえましたか?
いろんな沖縄名物、食べていました。コーレーグスは家にあったし、海ぶどうも結構持って帰ってきてました。滋賀の実家ではゴーヤーを育てているので、ゴーヤーチャンプルーはよく食べています。親は自宅を・・・沖縄にしようとしてたのかな!? 玄関開けたら、手作りシーサーが飾られていますからね(笑)。プチ沖縄みたいな家だったんですよ(笑)。オトンは夜中になると沖縄民謡を聴きながらお酒飲んでいましたし、カーステレオでも沖縄民謡を流していて、「三線がほしい」とよく言っています。そんな両親の影響で沖縄には憧れの気持ちがありますし、いつか一緒に来て親孝行できたらいいですね。見たことない魚に会えそうな、釣りも経験したいです。
―沖縄でのひょっこり計画は!?
したいですね。すごくいい「ひょっこり」ができそう。きれいな海、壮大な景色の中での「ひょっこり」を撮影してみたい。東京にはそういう景色はないですし、海外に行かないとできないことを沖縄でやってみたいです。海に行ったらずっと「ひょっこり」してるんやろな、きれい過ぎて。「僕はどこにいるでしょう!?」ってドローンで空中撮影してみたい。沖縄に来たら自然の中で「ひょっこりしたい!」と毎回思ってますが、難しいです。仕事が終わって自由時間になると、夜になっていますしね。
―シーサーから顔を出すとか、絵ではない美しい海に出向くとか、沖縄でたくさん「ひょっこり」してください! 最後に目標を教えてください。
辞書の「ひ」の欄に「ひょっこりはん」という言葉を載せたいです。「顔を物陰から出す行為」というような説明で(笑)。顔を出すこと、ひょっこり現れる事を「ひょっこりはん」という表現にして広がればいいなと思います。「いないいないばあ」よりも「ひょっこりはん」の方が赤ちゃんが笑う、という報告もよくいただきますし、子どもたちの五感が言葉のニュアンスをキャッチするのかな~!? 楽しく感じてもらえる力があるなら、辞書に載るまで「ひょっこりはん」を続けます!
「ハイサイ気分」
ようこそ沖縄へ! 本土から来沖する有名人を歓迎する、連載インタビュー。近況や楽しいエピソード、沖縄への思いなどを語っていただきます。
【ひょっこりはん プロフィール】
Twitter @yashita99
YouTubeチャンネル https://t.co/Yi0MNPbXMv
性別:男性
生年月日:1987年4月28日
身長/体重:174cm/60kg
血液型:B型
出身地:滋賀県 守山市
趣味:ストレッチ、ヨガ、サイクリング、漫画、絵本
特技:ソフトテニス(インターハイ出場経験あり)、けん玉、小藪千豊のものまね
出身/入社/入門:早稲田大学卒業/NSC東京18期生
【よしもと沖縄花月】
「ひょっこりはん」ほか東京や大阪で活躍する多くの芸人、沖縄所属の芸人も舞台に立つ『よしもと沖縄花月』は365日毎日営業中! お友達とご家族と、気軽にお越しください。
中学生以下のお客様は無料でご覧いただけます。(※一部対象外公演あり。当日券のみ)
那覇市前島3-25-5 とまりんアネックスビル2階
TEL 098-943-6244
公式サイト==> http://www.yoshimoto.co.jp/okinawakagetsu/pc/
饒波貴子(のは・たかこ)
那覇市出身・在住のフリーライター。学校卒業後OL生活を続けていたが2005年、子どものころから親しんでいた中華芸能関連の記事執筆の依頼を機に、ライターに転身。週刊レキオ編集室勤務などを経て、現在はエンタメ専門ライターを目指し修行中。ライブで見るお笑い・演劇・音楽の楽しさを、多くの人に紹介したい。