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われわれの生活に壊滅的なダメージを与えるという消費増税。わが国の首相は“今後10年10%より上がらない”と話すが……。本当にその言葉を信じていいの?

 

「安倍政権において、消費税をこれ以上引き上げることはまったく考えていません」

「今後10年ぐらいの間は、上げる必要はないと私は思っている」

 

参議院選挙の公示日前日の7月3日に行われた日本記者クラブ主催の討論会。安倍晋三首相はこう語り、10月から消費税を10%に引き上げることに理解を求めた。

 

「この状況下で“消費税を増税する”というのは“日本経済を破壊します”と言い放っているのに等しいのです。『10年間上げない』という言葉も、はたして額面どおりに受け取っていいかどうか……」

 

そう憤るのは、京都大学大学院教授の藤井聡さんだ。6年にわたり、安倍内閣で内閣官房参与を務めたが、増税などに反対する「言論活動に注力するため」、昨年12月に参与の職を辞している。

 

「すでに安倍政権になってから1世帯当たりの年間の平均所得は実質値で40万円も減少しました。10月の消費増税は、さらなる所得の落ち込みを招くでしょう」(藤井さん・以下同)

 

財務省はかねてから、“御用学者”や恣意的な統計データを使い、日本の消費税率は低いと喧伝してきた。消費税10%は通過点にすぎないと財務省は考えている。だが、さすがに、“10%不況”が起これば、これ以上の増税は諦めると思うのだが……。

 

「’97年の5%への増税直後に、日本は深刻な不況に陥り、物価がどんどん下落していく長いデフレに突入しました。ところが、財務省はデフレの原因は同時期に起こった『アジア通貨危機』のためだと言い張ったのです」

 

タイ発の急激な通貨下落は、インドネシア、韓国をはじめアジア各国に派生。世界的不況を招いた。

 

「しかし、通貨危機の中心となった国々はしばらくすると不況を脱し、経済はふたたび成長し始めました。貧乏になっているのは日本だけ。デフレの原因は明らかに消費税の増税にあるんです」

 

消費税10%による不況が起きても、財務省はこの原因を消費増税のせいではなく、“世界経済の落ち込み”など、別の要因に転嫁する可能性が高い。

 

「財務省は、今度は15%と言いだすでしょう。だから、“10%ならいいや”などと考えてはいけません」

 

安倍首相は“10年間増税は必要ない”といったが……。

 

4日、自民党と連立を組む公明党の山口那津男代表は、10年後に在任しているということを安倍首相自身が否定していたとして、「責任ある発言として受け止め切れない部分もある」と、10年以内のさらなる増税への含みを見せた。

 

10年増税がないのなら、2%分の増税くらい……。そう思った瞬間、地獄の扉が開くのだ。

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