「片づけとは、物を動かしたり、元に戻したり、並べ替えたりすることを指しますが、脳が物事を処理する能力とほぼ同じ働きです。技術の発展に伴い、私たちの生活はどんどん便利になりましたが、一方で、生活がパターン化し、脳の使われる部分が限定され、使われなくなった部分は衰えています。その結果、一人ひとりの処理能力のクセ(得手不得手)が、片づけにも影響しているのです」
脳内科医の加藤俊徳先生はこう話す。著書『部屋も頭もスッキリする! 片づけ脳』(自由国民社)の中では、脳の持つ働きを部位別に明確にし、8つの脳タイプに分類している。ここではそのうち「運動系」脳をピックアップ。「運動系」脳がうまく使えていないとなぜ部屋を片づけられないのか、さらにはそのトレーニング法も紹介。まずは、次のチェックリストを。多くチェックがついていたら、あなたがきたえるべきは「運動系」脳だ。
□座り仕事が多い
□あまり歩かずに電車やバスに乗ってしまう
□1日7時間以上の睡眠をとっていない
□パソコン、スマートフォンを使う時間が長い
□何をするにも「面倒くさい」と感じてしまう
「運動系」脳は頭頂部の左右に帯状になっており、体を動かす司令塔部分。ここがにぶると、片づけのために体を動かすことが面倒になってしまう。右利きの人は右脳を、左利きの人は左脳を、日ごろ使われにくいほうをきたえることで改善される。いちばん「面倒くさい」と感じやすい朝、起き抜けにテキパキ動くことを意識しよう。
トレーニング法は次のとおり。
■寝起きにお手玉
新聞のチラシなどを枕元に置いておき、朝起きたらすぐに左右それぞれの手で紙を丸め、2つの紙の玉でお手玉をする。「1、2、3」と声に出したり、立ち上がってやるのもよし。逆方向にも回すと脳への刺激が増す。
■歩幅を広げてスタスタ歩く
運動系脳を何より刺激するのが「歩く」こと。歩幅を広げて、いつもより速足で歩いてみよう。人混みで人にぶつからないように歩いたり。最寄りの駅のひとつ手前の駅で降りて長めに歩くのも、運動系へのよい刺激になる。
■数えながら物を拾う
「腰をかがめてつかむ」といった実際の運動でも、運動系脳をきたえることができる。物を拾いながら口に出して数えたり、利き手ではない手でつかんだり、ゲーム感覚で楽しみながら片づけることで、脳によい刺激となる。
■利き手でないほうの手を使う
日常生活の中では利き手以外を使うことがほとんどないため、左右の運動脳も片側しか刺激されず、体の動きがにぶくなる。利き手とは反対の手でテーブルを拭いたり、歯みがきをするなど、両手を使うことを意識してみよう。
■スマホの使用を控えて会話を増やす
眼球や口の筋肉を動かすことは、運動系脳の強化につながる。しかし、スマホの画面を長時間見つめていると、眼球も口もほとんど動かず、運動系をにぶらせる原因に。スマホの使用は必要最低限に抑え、人との対話を楽しもう。