「双子の長男(13)は、耳が少し悪く、発達が普通の子よりも遅かったりしましたが、成長して中学生になりました。大のマンガ好きで、『忍者ハットリくん』や『ポケモン』に夢中です」
笑顔でこう話すのは、立憲民主党代表の枝野幸男氏(55)の妻・和子さん(51)。これまでほとんどメディアに登場することがなかった彼女が、結婚20周年を迎え、代議士妻のリアルライフエッセイ『枝野家のひみつ』(光文社)を出版。
枝野氏との出会いから結婚、不妊治療の末、双子を出産したこと。子育ての奮闘、永田町では絶対見られない家庭での枝野氏の素顔などが、赤裸々につづられている。
「枝野とは29歳でお見合いをして結婚しました。私の父が弁護士事務所を開いていたので、今は政治家だけどゆくゆくは弁護士に戻って実家を手伝ってくれるだろうと思って(笑)。だから政治家の妻になるという感覚は希薄でした」
大学卒業後、日本航空のCAとして働いていた和子さん。’99年の結婚と同時に生活が一変するーー。
「まずは地元選挙区内での挨拶回り。そして何よりも選挙に慣れること。結婚して3年ぐらいは、代議士の妻としての仕事を覚えることを最優先に考えました」
3年の間に選挙も経験し、ひととおり仕事を覚えた和子さんは、そろそろ子どもを作りたい、そう思い始める。だが、いざそうなるとなかなか授からない。このとき年齢は33歳。悩んだ末に、枝野夫妻は不妊治療に挑むことを決意する。
「最初は人工授精から始めましたがうまくいかず、半年後に体外受精に切り替えました。でも、着床しても受精卵が定着せずに流れてしまう“習慣性流産”という状態が約2年間続いて……」
不妊治療を始めて3年。計10回の体外受精を行い、36歳でついに妊娠。しかも二卵性双生児であることがわかった。ふだん、家事をほとんど手伝わない枝野氏だったが、妊娠後はゴミを出し、洗濯物を干し、畳む作業をやるようになったという。
「枝野は田舎の長男で大切に育てられたので、お魚の骨も取ってもらって食べていたぐらい、家では何もしない人なんです。料理は何一つ作れないし、おそらくコーヒーも入れられない(笑)。そんな枝野が妊娠後、土日に地方の仕事を入れていたのを減らしてサポートしてくれました」
そして出産を迎えるのだが、なんと議員宿舎のエレベーターの中で破水が始まった。
「部屋に戻り、宿舎内に常駐している看護師に救急車を呼んでもらい、1人でエレベーターに乗ってロビーに向かう途中にも破水しました。枝野も病院に駆けつけてくれましたが、出産直後、出張でイタリアに(笑)。結局、予定より1カ月半早い出産となりました」
代議士の妻として1人で家庭を守り、子育てをしてきた和子さん。
そうして育った長男も今は中学1年生。軽度の難聴で補聴器が手放せないが、公立の中学校に元気に通っている。一方の次男は本が大好きで、「速く本を読みたいから」と、速読教室に通うほどの読書家だ。
「小学生のころから伊坂幸太郎や重松清の本などを読んでいて、いまは東野圭吾が好きみたいです」
将来の夢は、長男がゲームのプログラマー。次男は弁護士だとか。だが親のホンネは、政治家になってもらいたいのでは?
「息子を国会議員にさせたいとは思っていません。将来、もしどうしても政治家になりたいと思ったら、まずは自分で仕事をして稼いで選挙資金をためることが先。親の地盤を継いで、ちやほやされてというのは私も枝野も許さないというか。どこか空いている地盤を自分で探して目指すならいい、と話しています」
政界の一寸先は闇、いつ何が起きてもおかしくない世界だ。現在、野党第一党の代表である枝野氏が総理大臣になる可能性もある。代議士の妻として、頭の片隅に“ファーストレディ”への思いがあっても不思議ではないが……。
「まったくないです(笑)。わからないことに対しての準備をするよりも、子どもをちゃんと育てて、自立した人間にすることのほうが今の私には大事ですから」