昨年12月22日に行われた漫才の日本一を決める大会『M-1グランプリ2019』(ABC朝日放送系)で優勝を果たしたミルクボーイ。ボケ担当の駒場孝(33)とツッコミ担当の内海崇(34)のこのコンビが、’19年に初めて漫才をテレビで披露したのがM-1の舞台だった。超新星のように現れたかに見える2人だが、じつは今年で芸歴は15年目。長い苦節の時代があった――。
内海「一時、本気で芸人を辞めようとしたことがあったんですよ。’16年、“おかん”がくも膜下出血で倒れて、意識がなくなったんです。目覚めたとしても、後遺症が残って介護の必要があるかもしれない状況でした。大阪から実家の姫路に帰ろうと思った。でも、ICUに入ったおかんは次の日に奇跡的に目覚めたんです。病院にかけつけると、看護師さんから『芸人さんをやられてるんですよね?』って言われて。『なんで知ってるんですか』って聞くと『お母さんは目覚められてすぐに、“息子が芸人をやっている”と自慢してましたよ』って聞いたんです。おかんを喜ばせるためにも頑張らなあかんなと思いました」
大阪芸術大学の落語研究会で出会った2人。アマチュア時代から活躍し、鳴り物入りで吉本興業に入ると、プロ転向4年目にM-1グランプリ準々決勝に進出する。キャリア当初は順風満帆だった。
内海「でも(’10年に)M-1がいったん終わってしまって。目標を見失ったんです」
それから5年ほど、内海はギャンブル三昧。駒場は自分をかわいがってくれていた今田耕司(53)ら、先輩芸人たちと遊びに興じる日々。いつしかネタを作ることもなくなっていた。
駒場「正月と夏は今田さんに毎年旅行に連れて行ってもらって」
内海「僕はいつも競馬場かパチンコにいました」
駒場「でも、’15年ごろ、海原やすよともこさんに『今はあんまり漫才やってないらしいね。ミルクボーイって昔は面白かったって聞いたよ』って言われて……。その一言を聞いて恥ずかしくなって『これは変わらなアカンな』と思うきっかけになりました」
’15年にM-1が復活したことも追い風になり、真剣に漫才に取り組み始めた。駒場は先輩からの誘いを断るようになり、内海はギャンブルを断った。その結果、10回目のM-1挑戦で見事栄冠に輝いた。
内海「2年前、彼女から今までになく真剣にM-1の決勝にホンマに出てほしいと言われて。それから目標を書いた紙を部屋いっぱい張るようになったんです。一昨年は『橋本環奈ちゃんと共演する』と書いたんですけど、『そんな欲望は書くな』と怒られたんで、去年は『親孝行する』とか真面目なことしか書けなかった(笑)」
駒場「そこは、ボケさせてあげて」
(取材・文:インタビューマン山下)
「女性自身」2020年2月11日号 掲載